最新記事

アフリカ経済

人民元がジンバブエの「新通貨」に?

破綻した自国通貨に代わる代替通貨として、「お得意さま」中国の人民元を採用する可能性が高まっている

2012年1月23日(月)14時47分
リン・ラ

新たな選択肢 ドル安でもユーロ危機でも人民元は安全? Reuters

 09年にハイパーインフレで自国通貨が破綻して以降、代わりに米ドルを使用してきたジンバブエ。だが米ドルの価値が急落するなか、新たな通貨が商取引に採用される可能性が浮上している。中国の人民元だ。

 現在、同国の小売業者は商取引にユーロや英ポンドも使えることになっているが、この2つの通貨は普及しておらず、米ドルや南アフリカのランド、ボツワナのプーラが使われている。

副大統領も採用を支持

 ところが最近、急速に支持を拡大しているのが、中国の人民元だ。「今のうちに人民元を採用しておけば、米ドルの急落などのリスクを回避できるだろう」と、ジンバブエ中央銀行のゴノ総裁は言う。ゴノはユーロ圏の債務危機が自国経済に及ぼす影響についても懸念している。

 ジンバブエは自国通貨の再生に努めているが、当面は人民元が一時的な代替通貨となるかもしれない。オンライン雑誌シンク・アフリカ・プレスによれば、ムジュル副大統領も「人民元の採用は理にかなった措置であり、わが国の資金流動をスムーズにするだろう」と述べている。

 中国はジンバブエの鉱物と農産物を大量に輸入しているお得意さま。人民元の導入で貿易がさらに拡大するかもしれない。

GlobalPost.com特約

[2011年12月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ロ、サウジ会合の結果を分析中 「協議内容公表せず

ワールド

豪政府が予算案発表、新たな減税盛り込む 財政収支は

ワールド

独IFO指数、3月は86.7に上昇 景気回復期待高

ビジネス

米個人消費が鈍化、物価高や経済見通し悪化で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放すオーナーが過去最高ペースで増加中
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 5
    コレステロールが老化を遅らせていた...スーパーエイ…
  • 6
    ロシア軍用工場、HIMARS爆撃で全焼...クラスター弾が…
  • 7
    止まらぬ牛肉高騰、全米で記録的水準に接近中...今後…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    トランプの脅しに屈した「香港大富豪」に中国が激怒.…
  • 10
    ドジャース「破産からの復活」、成功の秘訣は「財力…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中