最新記事

格差

アメリカ貧困層、急拡大の新事実

わずか10年間で3倍以上に増加し、都市部だけでなく郊外でも拡大が止まらない

2011年11月4日(金)15時21分
カイル・キム

転落の町 ミシガン州デトロイトの荒廃した地域にはホームレスも多い。背後に見えるのはゼネラル・モーターズ(GM)本社 Rebecca Cook-Reuters

 アメリカ全土で貧困層が記録的な数に膨れ上がっている――米ブルッキングス研究所の最新調査でそんな事実が明らかになった。

 アメリカの貧困層の数は90年代には1230万人だったが、10年で4620万人に増加。低所得者層が集まる「貧困地区」の人口は同期間に33%増えたという。

 今回の調査は2000年~09年の国勢調査を分析したもので、「貧困地区」は4人家族で年収が2万2300ドルを下回る住民が40%以上を占める地域と定義。アメリカの貧困層のおよそ10%がこの貧困地区に住んでいると推定される。

都市部の倍以上の速さで郊外に拡大

「今のままでは、貧困地区の住民は公共教育の質の低下や失業問題、高い犯罪率など数多くの問題に直面する」と、ブルッキングス研究所のアラン・ベルーブは語る。

 貧困地区が最も急拡大したのはデトロイト、トリード、ヤングスタウンなど中西部の都市圏。昔から都市部では貧困地区が他の地域よりもはるかに多かった。しかし近年、貧困地区の人口が急増しているのはむしろ郊外だと、ベルーブは語る。

 今回の調査によれば、郊外の貧困地区は過去10年間で都市部の倍以上のスピードで拡大した。住民の中ではアフリカ系アメリカ人が最も多く、45%近くを占めている。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英消費者信頼感、11月は3カ月ぶり高水準 消費意欲

ワールド

トランプ氏、米学校選択制を拡大へ 私学奨学金への税

ワールド

ブラジル前大統領らにクーデター計画容疑、連邦警察が

ビジネス

カナダ、63億加ドルの物価高対策発表 25年総選挙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中