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世界経済ブラジルはユーロ危機の救世主?
債務危機に揺れるEUへの支援を表明したが、自国経済は失速、ロシア、中国、インドも無言のまま
南米からの忠告 財政再建ばかりでなく成長と雇用創出を促進すべきだとEUに語ったルセフ(10月4日、ブリュッセル) Yves Herman-Reuters
ブラジルは巨額の債務危機に瀕しているEU(欧州連合)に助け舟を出すつもりらしい。世界経済におけるブラジルの地位を強化する狙いだ。
ブラジル初の女性大統領ディルマ・ルセフは、ブリュッセルで開かれたEU=ブラジル首脳会談の場でEU支援を約束した。ブラジルには世界経済における役割を「果たす心づもりがある」と、ルセフ。「私たちを当てにしてほしい」
ルセフは以前から、ブラジルをはじめとするBRICS諸国にはヨーロッパを危機から救う力があると語っていた。だが今のところ、他のBRICS諸国であるロシア、インド、中国、南アフリカから同調する声は聞かれない。
ルセフはまたEU諸国に対し、これまでのように緊縮財政ばかりに注力するのではなく、経済成長と雇用の創出を促進していくべきだと助言した。「景気に悪い財政調整だけしていてはだめだ」と。
ブラジルが、どんな支援を申し出るのかはまだ分からない。しかもルセフが景気よく約束した一方で、ブラジル経済は失速しつつある。世界経済の低迷と政府による歳出削減を受け、ブラジルの中央銀行は今年の経済成長率を4%から3.5%に下方修正した。ちなみに昨年のブラジルの成長率は7.5%だった。
ここしばらく、ブラジル経済の過熱を懸念する見方が広がっている。とはいえ、破滅への道を進んでいるわけではない。少しだけ成長のペースを落としただけた。
英フィナンシャルタイムズ紙はブラジル経済の動向について、ゴールドマンサックスのエコノミスト、アルベルト・ラモスの言葉を引用している。「ブラジルは地球の重力から逃れることはできない。彼らもグローバル経済の一部なのだから」