フェースブックはもう賞味期限切れ?
世界市場での成長ペースが落ち始め、いずれユーザー数が減る国も出てきそう。今後の課題は、成長の速さではない新たな「成功の判断基準」をもつことだ
安定期の先へ ザッカーバーグCEOはSNSのどんな未来を見ているのか Robert Galbraith-Reuters
フェースブックのアクティブユーザー(月に1回以上ログインした人)数は、5月は1・7%増と普段のペースの約半分だった。2カ月連続の低迷だ。
フェースブックのサイトトラフィックを追跡するブログ「インサイド・フェースブック」によると、ブラジル、インド、メキシコといった新規の市場はユーザー数が大幅に増えているが、既存のアメリカ、カナダ、イギリス、ノルウェー、ロシアの市場は落ち込んでいる。
アメリカは特に顕著で、5月のアクティブユーザーは月初めが1億5500万人、月末は1億4900万人。600万人はフェースブック以上にやりたいことがあったようだ。
フェースブックは来年にも株式公開を予定していると言われており、それを考えると厳しい数字かもしれない。広告収入を当てにするサイトはトラフィックの増減に一喜一憂する。ユーザー数が頭打ちか減少傾向になることは、経営上の深刻な問題があるという意味でもある。
ユーザー数が10億人に達する可能性もあるが
とはいえ、フェースブックは一時の流行にすぎないと決め付けるのは早い。インサイド・フェースブックのエリック・エルドンによると、フェースブックは市場浸透率が50%を超えたら、基本的にその国では成長が鈍る。
SNSの短い歴史の中で、フェースブックは前例のない状況に直面している。いくつかの国では潜在的なユーザーをすべて獲得し、後はネット環境がない人や余暇でネットをあまり使わない人、SNSをかたくなに拒否する人しか残っていない。
従来、オンラインの評価基準は「成長」だった。もちろんフェースブックは成長を続けている。今後1年で南米とアジアではユーザー数が増え、全世界で10億人を超える可能性も高い。
ただし、その先は壁に突き当たる。世界のネットユーザーは約20億人。そのうちブロードバンド環境があって、社会生活をネットで管理したいという人は一部だ。さらに、世界のネットユーザーの約5分の1にあたる4億2000万人は中国にいるが、中国政府はフェースブックへの接続を禁止している。
つまり、フェースブックは見込まれる市場規模の上限に急速に近づいている。上限に達すれば成長のペースは落ちる。いずれユーザー数が減少する市場もあるだろう。アクティブユーザー数は月ごとに増減し、急成長期から安定期に入るだろう。
征服から統治の時代へ
それでいいのだ。フェースブックを帝国主義国に例えるなら、最初は容赦なく領土を拡大するが、征服できる領土をすべて制し、すべての民を服従させたら、新しい段階に進まなければならない──統治だ。
そこで、必要不可欠なサイトになるようなツールを増やしていくことになる。実際、フェースブックは「いいね!」ボタンやコメントモジュールなどを導入してサイト外にサービスを拡大し、どこからでもフェースブックにつながるユニバーサル・ログインを構築している。