最新記事

インフレ

過剰人口を減らす終末サイクルが始まった

地球人口は限界を超え、人々は限られた資源を奪い合い、モノの値段は急上昇――大物投資家グランサムが予言する「世界の終わり」

2011年6月15日(水)16時11分
トーマス・ムチャ

超インフレ終末論 有史以来、地球人口は食料不足で制御されてきた John Sommers II-Reuters

 世界の終末を予言しようとする試みは、歴史上枚挙に暇がない。

 終末を唱える予言者たちのリストに新たに名を連ねるのが、ウォール街の伝説的な投資家ジェレミー・グランサムだ。ニュースサイト「ビジネスインサイダー」によると、グランサムは最近、人類にとってたいそう暗い未来を思い描いているようだ。

 投資マネジメント会社GMOの共同創業者でもあるグランサムが言うには、世界には永遠の「パラダイムシフト」が起こった。地球上の人間の数が、地球が養うことのできる数の上限を超えたというのだ。

 とりわけそれが顕著なのが、経済成長に必要不可欠な原油や金属などの資源、そして食料だ。

 ビジネスインサイダーは、グランサムの主張を次のようにまとめている。


 ここ100年ほど、ほとんどの主要産品の値段は緩やかに下落してきた。だがこのトレンドは永久に終わりを告げたと、グランサムは考えている。今後は、人類は減少一方の資源を奪い合い、価格は暴騰する。

 グランサムの考えでは、地球が養える人間の数は約15億人だが、地球上には現在70億人が存在する(さらに100億〜120億人に増加するといわれている)。人類の歴史を振り返ると、地球上の人口が増え過ぎると食料不足によってその数は「制御」されてきた。制御が効かなかった最近の200年はむしろ例外だ。グランサムは、かつての人口減少圧力がまた働き始めると指摘している。


 もちろん、グランサムの考えは誤っているかもしれないし、科学の力が急速に人類を救う答えを出してくれるかもしれない。

 例えば18〜19世紀の経済学者トマス・ロバート・マルサスは、人口増加に食料増産が追いつかず、世界に貧困があふれると主張したことで有名だ。だが、マルサスの予想は外れた。農業の生産性が向上し、飛躍的な増産が可能になることまでは予測できなかったからだ。

 だが、もし絶望してみたい気分なら、世界人口の増加率や原油や金属などの商品相場、農業生産動向などを調べてみるといい。グランサムの「超インフレ終末論」を裏付けるデータは、うんざりするほどある

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国のウクライナ和平案、ロシア文書を基に策定=関係

ビジネス

日経平均は続伸、米早期利下げの思惑が支援 ハイテク

ワールド

高市首相、放漫財政を否定 為替は「状況見て必要な手

ワールド

マクロスコープ:米中接近で揺れる高市外交、「こんな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中