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オランダ大麻店はオランダ人限定で観光に打撃
合法大麻販売店「コーヒーショップ」の外国人の利用を禁じる方針を示したオランダ政府だが、観光業界は猛反発
自由の象徴? ロッテルダムの「コーヒーショップ」で大麻をふかす男性 Jerry Lampen-Reuters
オランダ政府は先月、大麻が合法で販売されている通称「コーヒーショップ」について、外国人の利用を禁じる方針を発表した。反対派は、「オランダの観光業にとって自殺行為だ」と猛反発している。
政府はウェブサイトでこの決定を発表。目的は「犯罪や迷惑行為、外国人によるドラッグツーリズム」を減少させることだ。
さらに政府は「大麻許可証」の導入も検討している。コーヒーショップを会員制のクラブに変え、18歳以上の成人オランダ人のみに利用を制限する、というもの。安全・司法省の報道発表には以下のように記されている。
コーヒーショップの利用は許可証を所持する会員に限られ、1店当たりの会員数の上限も定める。会員は成人のオランダ国民に限定する。
政府はこの規制はドイツやベルギー国境で頻発している密輸を取り締まるためにも必要だとしている。
オランダは麻薬密輸行為の取り締まりを強化する。対象となる犯罪組織の割合は20%から40%へと2倍に増加する見込みだ。
コーヒーショップの外国人規制はオランダの南部地域で今年中に施行され、2012年には全国で実施される。
かえって治安は悪化する?
首都アムステルダムの観光産業は、徹底抗戦を誓う同市の市長を担ぎ、規制に反対の声をあげている。アムステルダム観光局は、規制は外国人差別に当たると主張している。同観光局は「大麻などのソフトドラッグが以前のように路上で違法に販売されるようになり、犯罪や危険な事件を増加させることになる」ことも懸念する。「オランダ政府はオランダの国全体のためを考えてこの規制を決定したが、アムステルダムにとっては望ましくない」と同観光局の広報担当者マクタルド・リグトヴットはCNNの取材に対して語った。
「私たちはコーヒーショップを積極的に推進しているわけではない」とリグトヴットは言う。「それでも、この地でソフトドラッグを購入して使えるというアイデアそのものが、アムステルダムの魅力の1つであり、かの有名な自由の精神を表してもいる」
ロイターの報道によると、アムステルダムの歓楽街に推定220店舗あるとされるコーヒーショップの一部は、既に閉鎖し始めているという。
強硬策に出たオランダ政府だが、国内の麻薬使用は「ここ10年ほどほぼ安定した状態にある」としている。