アップル vs. グーグル最終戦争
ネットワーク品質の高いベライゾン版iPhoneがアメリカで登場したことで、グーグルのスマートフォン向けOSアンドロイドはいよいよ崖っぷち?
タイミングも重要 ベライゾン版のiPhoneは発売前から予約が殺到したが、一方で登場が遅すぎたとの声も Brian Snyder-Reuters
アメリカでアップルとグーグルの「最終戦争」がついに始まった。アップルが、スマートフォンのiPhoneを米携帯大手ベライゾン・ワイヤレスを通じて発売すると発表したのだ(発売は2月10日)。これでグーグルのスマートフォン向けOSアンドロイドは、息の根を止められるのか。
ベライゾンは、アンドロイドを成功させた立役者だ。この2年間、同社は盛んにアンドロイドを売り込んできた。米国内でiPhoneを独占的に提供する通信大手AT&Tに対抗するため、iPhoneと競合できる存在を必要としていたからだ。
登場当初のアンドロイドは「iPhoneもどき」にすぎなかったが、つながりにくいことで悪名高いAT&T以外の通信会社を利用できるのは魅力だった。過去数年間、iPhoneユーザーから最も多く寄せられた質問は「いつベライゾンで使えるようになるのか」だったと、アップルのティム・クックCOO(最高執行責任者)は先週の発表の際に語っている。
ベライゾン版iPhoneへの需要は極めて大きいはずだ。1年前に発売が発表されていたら、アンドロイドの命運は尽きたように見えただろう。
だが、この1年間で事情は大きく変わった。アンドロイドの質は格段に向上し、アメリカでのユーザー数はiPhoneを追い越す勢いを見せている。
特筆すべきは、アンドロイドならではの強みである「多様性」を維持していることだ。オープンソースのアンドロイドはサムスンやモトローラなど、さまざまなメーカーの端末に搭載され、機種も多彩。スライド式もキーボード付きモデルもあるし、画面のサイズもいろいろだ。対照的に、iPhoneは色も形もアップルが「これ」と決めたものしか選べない。
筆者も以前は熱烈なiPhoneファンだったが、まともに通話ができないのには耐えられなかった。通話用にと、ベライゾンの回線が使える安価な携帯電話を購入した自分がバカらしくなり、アンドロイド搭載機を使い始めたところ、すっかりはまった。Gメールやグーグルマップも利用でき、今ではアンドロイドが生活に欠かせない。
アップルにつきまとう弱点
ベライゾン版のiPhoneが登場しても、もはや興味はそそられない。アンドロイド転向組に言わせれば、タイミングが遅すぎる。「もうiPhoneを使う気はない」と、ニューヨークでベンチャーキャピタルを運営するフレッド・ウィルソンは話す。