超訳FRB「米景気はお先真っ暗」
難解な専門用語を平易な表現に置き換えたら、行き当たりばったりの経済政策が浮き彫りに
大丈夫? バーナンキFRB議長の発言は株式市場や各国政府の政策に大きな影響力をもつ Jim Young-Reuters
FRB(米連邦準備理事会)のベン・バーナンキ議長は、注目された11月3日の連邦公開市場委員会(FOMC)の後声明を発表し、景気の見通しや今後数カ月間のFRBの対応について説明した。
こうした声明はほぼ6週間おきに出され、株式市場や各国政府の政策に影響を与える。だが、その中身は専門用語のオンパレードで、一般の読者が理解するのはほぼ不可能だ。
そこでスレート・ドットコムはナショナル・パブリック・ラジオのグローバル経済情報チャネル「プラネットマネー」と協力して、FRBの声明をシンプルな表現に翻訳してみた。中央銀行語の固苦しい表現と、日常的な言葉遣いに言い換えた翻訳版を読み比べてみよう。
■原文 9月のFOMC以降に入手した情報は、生産及び雇用の回復ペースが依然として遅いことを示している。家計支出は徐々に増加しているが、高い失業率と所得の緩やかな伸び、住宅資産の減少、低い信用力によって抑制状態が続いている。(後略)
■翻訳 景気は相変わらず最悪だ。人々は以前よりカネを使うようになっているが、家計は破産寸前。10人に1人は仕事がなく、給料も上がらない。家の値段はがた落ちで、誰もローンを組めない。会社は新しいものを買っているけれど、新しい工場やオフィスビルをつくっているわけではない。誰も人を採用せず、誰も家を建てない。低かったインフレ率は超低い水準になった。
法令で義務付けられた責務の通り、FOMCは雇用の最大化と物価の安定の推進を目指している。現時点では失業率は上昇している。また長い目で見ると、基調インフレを示す指標は、FOMCの2つの責務と一貫していると判断できる水準に比べて、幾分低い水準にある。(後略)
■翻訳 FRBの主な仕事は2つ。失業率を抑えて、物価を安定させることだ。ご存知のように、今の失業率はとても高い。インフレ率が非常に低いのも心配だ。私たちは失業率は下がるだろうと言い続けているが、相変わらず下がらない。
より強いペースでの景気回復を促進し、時間の経過とともに、インフレがFOMCの責務と矛盾しない水準になることを確実にするために、本日、証券の保有拡大を決定した。(後略)
■翻訳 景気に渇を入れ、インフレ率をちょっと引き上げるために、買い物三昧を続けることにした。まず、昔の投資の元を取った時点で、新しいものを買い続ける。2つ目(今日のビッグニュースはこれ)に、金欠財政から6000億ドルをひねり出し、今後8カ月間で連邦政府の長期国債を買う。そうすれば利率が下がるから、人々がお金を借りたり使ったり、企業が採用を始めたりしやすくなると期待している。
ちなみに、これは実験で、実はどう転ぶかわからない。私たちには、いつでも計画を変更できる権利がある。