最新記事

金融

急増するアジアの大富豪を取り込め

2010年8月17日(火)13時13分
ナンシー・クック

 アジアには現在、資産100万ドル以上の大富豪が300万人いる。米証券会社メリルリンチらの調べでは、ミリオネアの数は1年前と比べ26%増加したという。アジアの富豪の資産総額は9兆7000億ドル。ヨーロッパのそれを上回り、北米の水準に迫りつつある。

 このニューリッチを顧客にしようと、金融大手は富裕層に資産運用や節税対策などをアドバイスするウェルスマネジメント部門の拡充を急いでいる。JPモルガン・チェースは2月、国際プライベートバンク部門(資産1000万ドル以上の顧客が対象)の本部をニューヨークから香港に移した。

 バークレイズ・ウェルスは7月、三井住友銀行と日興コーディアル証券と手を組み、日本での富裕層向けサービスの開始を発表した。ドイツ銀行もクレディ・スイスやシティバンクなどから資産運用アドバイザーを引き抜き、アジアでの顧客開拓に努めている。

 ボストン・コンサルティング・グループ香港のチュン・タンによると、アジアの富豪は資産の多くを現金で持ちたがるが、不動産や未公開株などハイリスク投資にも関心を寄せている。アジア経済は強固な成長を続けている上、貯蓄率も高い。アジアの世帯の平均資産は世界平均の2倍に達する可能性もあるという。

[2010年8月18日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国、ASEANと貿易協力強化の用意 議長国マレー

ビジネス

旭化成、27年度までの3年間で1兆円投資 ヘルスケ

ワールド

米議事襲撃事件、FBI関与疑惑を調査=情報機関高官

ビジネス

メキシコCPI、3月は+3.80% 0.5%の追加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた考古学者が「証拠」とみなす「見事な遺物」とは?
  • 4
    【クイズ】ペットとして、日本で1番人気の「犬種」は…
  • 5
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 6
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    毛が「紫色」に染まった子犬...救出後に明かされたあ…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 10
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描か…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中