最新記事

テクノロジー

アップル決算「ブロウアウト!」の意味

アプリ業界の盛衰を左右する注目の決算は、iPhoneのアンテナ騒動にも関わらず絶好調。悪いのはジョブズの性格だけ?

2010年7月22日(木)16時40分
ケビン・ケレハー

「Blowout(ブロウアウト=噴出)」という単語の用途は様々だが、通常は次の4つのいずれかを指す。1)道路脇でパンクした車の隣りに立つこと、2)ブライアン・デ・パルマ監督の同名映画(邦題は『ミッドナイトクロス』、3)リアリティー・ドラマ『マカロニ野郎のニュージャージー・ライフ』の登場人物の、ドライヤーでふくらませたヘアスタイル、そして4)目を見張る企業決算だ。

 アップルが20日に発表した4〜6月期決算をメディアがブロウアウトと形容したのは、幸運にも4つ目の意味だった。売り上げは157億ドルで、アナリストの見通し148億ドルをざっと10億ドルも上回った。6月末時点の手元資金は450億ドル。ボリビアやコスタリカの経済規模に匹敵する余裕資金をもっているということだ。

 アップルの業績は、アプリ市場の盛衰にも直結する重要な指標だ。投資週刊誌バロンズのシリコンバレー支局のブログ、テック・トレーダー・デーリーから興味深い数字をいくつか紹介しよう。

■アップストアからのアプリの累計ダウンロード数は50億件以上にのぼった。

■4〜6月期のiPhoneの販売台数は170万台で、平均販売価格は595ドルだった。

■iPhone、iPodタッチ、iPadなど、基本ソフトにiOS(アイ・オーエス)を搭載した機器の累計販売台数は1億台を超えた。

■iPad本体とアクセサリーからの4〜6月期の売り上げは21億7000万ドル。平均販売価格は640ドルだった。

■直営店舗アップルストアの売り上げは前年同期比73%増の25億8000万ドルと過去最高を更新。Macパソコンの販売台数は67万7000台で38%増加し、初めてMacを購入した顧客が半数を占めた。

■iTunesストアの売り上げは25%増加した。

 この夏のアップルは、まるで業績不振の市場を高みから見下ろす黄金郷のようだ。投資家にとってはいいニュースだろう。だが、既に自信過剰のCEO(最高経営責任者)、スティーブ・ジョブズのエゴがますます肥大化しそうなのは嘆かわしいことだ。

<追記>
 アップルの「今までで最も驚くような製品」については、以下の動画が参考になるかもしれない(本編はCMの後)。http://www.slatev.com/video/apples-coolest-product-ever-seriously

The Big Money.com特約)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ロシア・クルスクで北朝鮮兵2人確保=大

ビジネス

25年は世界の安定成長とディスインフレ継続へ=IM

ビジネス

日鉄のUSスチール買収放棄期限、米当局が6月まで延

ワールド

「日米首脳会談へ地ならし」と岩屋外相、トランプ氏就
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 2
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 5
    「本物?」レディー・ガガ、楽曲ヒットでファンに感…
  • 6
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 7
    古民家がレストラン・サウナに! 動き出した「沿線ま…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 10
    悲報:宇宙飛行士は老化が早い
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 6
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 7
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も…
  • 8
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中