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アップルiPhoneアンテナこんなはずじゃ...
持ち方によって受信強度が落ちる問題で、アップルはアンテナの設計ミスとは認めなかった。iPhone 4発表時にジョブズはアンテナを真っ先に自慢していたのだが──
それは、アップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)があるユーザーの問い合わせに対して「取るに足りない問題」と答えてから8日後だった。同社は7月2日、iPhone 4の持ち方次第で受信電波が消えてしまうことをホームページ上で認めた。
だが同社は、あくまで受信強度の表示の問題としており、アンテナの設計ミスとは位置付けていない。旧モデルと異なり、iPhone 4のボディにはステンレス鋼が巻きつけてあり、それ自体がアンテナの役割を果たしている。
受信の不具合は6月24日の発売直後にユーザーが気付いた。iPhone左下の細い黒い切れ目を指で覆うと受信電波が次第に落ちていき、完全に消えることもある。切れ目から指を離すと、安定した受信状態が復活する。アップルによると、ステンレス鋼に触らなければiPhone 4の受信感度は従来機種よりも高いという。
ジョブズがメールに書いた「取るに足りない問題だ。そんな持ち方しなきゃいい」という言葉は、多くの人が失言と受け止めている。アップルをどこよりも批判し続けているテクノロジー・ブログサイト「ギズモード」は、アンテナ問題を改善するゴム製ケースの無料配布をアップルに求めるため、署名集めをフェースブック上で始めた。
アップルにできるのは、修正ソフトウエアと醜いゴム製ケースを配布することくらいかもしれない。ただし同社が配布する修正ソフトは受信状態を正確に表示するためのもので、受信の感度を上げるわけではない。
「ほんとにクールな技術」
ジョブズは6月7日にiPhone 4を発表したとき、ステンレスの帯とそこに入った切れ目がデザイン上どれほど重要かについて長々と話した。強調した8つの特長のうち、最初に取り上げたのがそれだった。
「周囲に巻かれたステンレス鋼がこの携帯の主要な構造要素で、切れ目が3カ所に入っています」と彼は言った。まさにその部分が今回の騒ぎにつながったのだから、きっと彼は後悔していることだろう。
「実はこれは素晴らしい技術の成果で、ステンレス鋼バンドをアンテナシステムの一部として使っているのです」。アップルファンの聴衆の大きな歓声を受けて、ジョブズは続ける。「統合型アンテナを携帯に組み込んでいます。これまでなかったことです! ほんとにクールな技術です!」
ジョブズが後悔しそうな発言がもう1つあった。「手で持ってみると、信じられないほどです」
*関連記事が7月7日(水)発売のニューズウィーク日本版に掲載されます。