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経済冬目前のカナダは好景気で沸騰中
ここ1年間で、アメリカと距離を置くことが不況を断ち切る手段だということが証明された。アメリカと遠く離れた中国とオーストラリアは、まさに好景気。一方で国境を接するメキシコは、対米輸出の減少で今も苦しんでいる。
だがアメリカがNAFTA(北米自由貿易協定)を結ぶもう1つの隣国カナダは、先進国のなかではピカイチの状態で泥沼から脱した。この夏に短期の不況から立ち直って以来、雇用創出にも拍車が掛かる(今年9月には、雇用者数が3万1000人の純増)。カナダドルも、対米ドルでうなぎ上りだ。「カナダは今、好景気に沸いている。国境より南とは正反対の状態だ」と、トロントの資産運用会社グラスキン・シェフのチーフエコノミスト、デービッド・ローゼンバーグは言う。
カナダでは、不動産価格の高騰中も貸し出し基準が緩むことはなかった。不動産購入者はきちんと頭金を用意させられ、金利のみを支払う変動金利型のローンもなく、金融機関は自己資本比率を適度に維持。その結果、住宅ローンの焦げ付きは抑えられ、大きな金融機関が1つも破綻しなかった。
世界経済フォーラムによると、カナダの金融システムの健全度は世界一。さらにカナダでは、工業製品の対米輸出が打撃を受けても、中国の経済成長のおかげで石油や天然ガス、金属、農業などの巨大な資源産業が好調だ。第1次産業がカナダ経済に占める割合は、アメリカの3倍。資本流入も堅調で、不動産市場も回復した。寒いはずのカナダは今、とてもアツい。
[2009年11月11日号掲載]