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米景気アメリカのCEOは株を大量売却中
景気底入れを口にしながら自分の株は売りまくる経営者の本音は、お先真っ暗
弱気が台頭 景気は底入れしたのかしないのか、疑心暗鬼から3日続落したニューヨーク株式市場(6月23日) Eric Thayer-Reuters
景気回復論にもう一つの反証が表れた。「景気は底を打った。これからは成長だ」と語るCEO(最高経営責任者)たちが、その舌の根も乾かぬうちから個人の持ち株の処分を急いでいる。
カリフォルニアを拠点とする投資調査会社トリムタブスの最新のリポートによると、企業の経営情報を知りうるインサイダーたち、つまり米証券取引委員会(SEC)に個人の金融資産を開示しなければならない大物たちは、4月、5月、6月と、連続で株を売り越している。
今月これまでに、スタンダード&プアーズ(S&P)500社指数に入る米大企業の経営幹部たちは、26億ドル相当の株を売却した。もっと心配なのは、買うほうはたった1億2000万ドルだったこと。売りと買いのバランスが売りに傾いていることも弱気材料だが、買いが少ないという事実はそれ以上に経営者たちの本音を反映している。
売りと違って買いの理由は一つだけ
人々が株を売る動機はさまざまありうると、トリムタブスの株式ストラテジスト、ビンセント・デルアードは言う。ストックオプション(自社株購入権)をもらっていたかもしれないし、住宅の購入を考えているかもしれない。
だが、買いの動機はもっと単純だ。企業業績の将来に楽観的なら買うし、そうでなければ買わない。いま各社の経営状況を見た経営者たちの考えは、絶対に「楽観できない」だ。
「彼らは企業収益は悲惨な結果になり、株価は下落すると考えている」と、デルアードは言う。「『今は人生に一度あるかないかの買い時だ』と言って歩いている経営幹部もいるが、自分の金のこととなると反対のことをやっている」
客観的に言って、状況はどれほど悪いのだろうか。トリムタブスは03年以降の記録しかもっていないため、たとえばITバブル崩壊後の01年の株の取引状況と比べてみることはできない。わかるのは、経営幹部が今年買った株は昨年と比べて8割も少ないということだ。
今年1月から現在までにインサイダーが買った株は36億株だが、昨年の同じ期間にはそれが154億株だった。住宅バブルの絶頂だった06年には、340億株もの株を買っていた。一方、インサイダーが売却した株数も約半分になってはいるが、買いの減り方ほどではない。結局肝心なのは、彼らがいつ買い出すかだ。