最新記事

最先端ロボットにみる日本の宗教観

続 ニッポン大好き!

味噌、ネイル、短歌、神道とロボット
「和」の凄さは外国人の匠に聞け!

2010.08.06

ニューストピックス

最先端ロボットにみる日本の宗教観

ジェニファー・ロバートソン(人類学者、ミシガン大学教授)

2010年8月6日(金)12時02分
ロバート・ケーラム

 07年2月、埼玉県にあるホンダの研究所に招待された人類学者のジェニファー・ロバートソン(54)は、人型ロボットASIMO(アシモ)と対面した。彼女がバランス感覚を試すために小突くと「後ずさりして『おっと!』とかわいい声を上げた」。

 ロボット工学者でもないのになぜホンダが招待を? それは彼女が日本のロボットに魅了されて研究を続けているから。執筆中の本の仮題は『ロボ・サピエンス・ジャパニカス』だ。

 デトロイトに生まれ、3歳から14歳まで東京の小平市で暮らしたロバートソンは、子供のころ『鉄腕アトム』に夢中だった。21世紀に入り、03年の「アトム誕生年」の前後に日本各地で関連の催しが行われると、本格的に本物の人型ロボットについて研究を始めた。「社会変化の始まりを知らせるポップカルチャーの変遷には常に注目している」と、彼女は言う。

 30億ドル規模とされるパーソナルロボット市場で、日本は世界をリードする国だ。軍事目的が主流のアメリカと違い、日本では主に娯楽や介護、監視用に開発されている。

「日本のロボット開発が評価される理由は、その文化的・宗教的な歴史にある」とロバートソンは説明する。神道では石や木などあらゆるモノに生命を吹き込むから、「ロボットは生あるものとみなされ、日本の開発者はロボットに感情や良心をもたせられると信じている」という。

 とはいえ、危惧もある。日本政府が昨年まとめた科学技術政策の指針では、家事や育児をするロボットが開発されれば女性がもっと子供を産めるようになるといった内容が盛り込まれた。少子化対策だが、「女性は女らしく、男性は男らしくという時代への回帰だ」とも彼女は感じている。

 いずれせよ、ロバートソンが日本のロボットから目が離せない日々はまだしばらく続きそうだ。

[2008年10月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、高市首相を全面支持 3月19日にホワイ

ビジネス

ECBが金利据え置き、ドル安を静観 インフレ見通し

ワールド

米ロ、軍高官対話4年ぶりに再開へ アブダビ三者協議

ワールド

中国が金など裏付けのデジタル資産を開発しても驚かな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 6
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 9
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 10
    習近平の軍幹部めった斬りがもたらすこと
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    日本はすでに世界有数の移民受け入れ国...実は開放的…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中