レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい
ウェストバージニア州西部の町ポカの高校のグラウンド。背後には石炭火力発電所がそびえ立つ
文明とは、「無益な必需品」を際限なく増やしていくことだーー。かつて19世紀のアメリカ人作家マーク・トウェインはそう述べた。
先進国で人間の営みが「生き残る」ことから「快適を求める」ようになってから、エネルギーへの需要は高まり続けてきた。だが、私たちはその莫大な環境的・政治的コストを忘れがちになる。
写真家のミッチ・エプスタインは、9・11テロ以降のアメリカの消費文化とエネルギー生産の接点を捉えるため、5年かけて25の州を旅した。彼の言う「エネルギーツーリズム」の中で浮かび上がったのは、企業の強欲さ、工場による隠蔽体質や過剰なまでの警備、そして環境への無関心さに覆われた21世紀のアメリカだった。
ある高齢の女性は電力会社による地上げに頑として抵抗し、自宅に監視カメラを設置。発電所を撮影したエプスタインはFBI(米連邦捜査局)から「イスラム教徒なら手錠を掛けて拘束し、尋問していただろう」と告げられた。彼は「過去の快適さに固執しながら分別のある未来を探るアメリカの姿を伝えたかった」と言う。
超大国アメリカは今、築き上げた文明をいよいよ見直さなければならない地点に来ているのかもしれない。
最新写真集『American Power』
[2009年12月2日号掲載]
American Power by Mitch Epstein published by Steidl

