きものに今年こそ挑戦! 「宝尽くし」「亀甲つなぎ」...お正月にふさわしい柄とは? 基礎知識を解説
『原由美子のきもの暦』より 写真はすべてジョン チャン撮影
洋服感覚で無地のきものをすっきり着るのもいいけれど、柄と柄を組み合わせるきものならではの魅力もぜひ知ってほしい...。そんな原由美子氏の思いを『原由美子のきもの暦』の「睦月」の章および『原由美子のきもの上手 染と織』(ともにCCCメディアハウス)から一部抜粋。
お正月の楽しみのひとつは家できものを着て過ごすことでした。小学生の頃ですが、日舞の稽古着として持っていた赤地に手鞠柄の銘仙のきものを着せてもらい、ちょっと上等な帯を母に文庫に結んでもらった記憶があります。(中略)
洋服の場合は赤を初めとする派手な色は、むしろ年齢がいってからこそ着やすくなります。でも型はみな同じで素材が絹のきものは、そうはいきません。すっきり粋に地味なきものを着るのは、いくつになってもできることです。お正月にきもの始めというなら、華やかさを楽しんでこそという思いがあります。
お正月 おめでたい柄の小紋で、新春を寿ぐ華やかな装い。
お正月の三が日から十五日くらいの頃、初詣に行くと目にするのは、ここぞとばかり華やかな振袖姿。今年成人の人たちだなと、つい見とれてしまいます。でもせっかく振袖を自分のものにしても、成人式のときだけ袖を通し、あとはずっと簞笥のなかという話をよく耳にします。
振袖のかわりに、大きめの文様の華やかな小紋もいいものです。最近は若い人が地味なきものを着ることが多いようですが、年相応の色と柄に挑戦してみてください。こういう小紋だけは若いときだけに着るのを許されたもの。お正月を前に何かきものを、という人にぜひ着てほしいのです。
左=慶長文様の小紋+花菱文の京袋帯
京友禅独特の慶長柄は、江戸初期の慶長期に見られる写実模様と幾何学柄が組み合わされた独特の華やかさが特徴。小紋に分類されますが、大胆で華やいだ雰囲気があり、訪問着と同格で装うことも。そんなときは格調のある柄の京袋帯を締めて。慶長柄でも比較的抑えた色調なので、帯により長く着られるのも魅力です。
右=小紋+霞模様の袋帯
単色、小さめの柄の小紋とは異なり、このくらい大柄で多色な小紋は、若いときにぜひ着ておきたいきもののひとつ。格調ある袋帯を締めれば訪問着と同じくらいの格と華やかさが出るので、若い人らしいハレの装いに。また洋式のパーティなどでは訪問着より映えることも。無地感覚の名古屋帯でスッキリ着れば気軽な外出着としても楽しめます。