居酒屋のお通し(=強制的な前菜)には納得できない!?
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<訪日外国人観光客の増加につれ、クローズアップされる「お通し」トラブル。「なぜ払わなければいけないのか!?」という不満の声は、実は外国人だけでなく日本人からも上がっている>
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ビザの緩和や免税制度の拡充を背景に増加し続ける外国人観光客。2016年の訪日外国人観光客数は前年比21.7%増で2400万人を突破し、4年連続で過去最高を更新するなど、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、さらなるインバウンド市場の拡大を期待する業界も多いことだろう。
訪日の大きな目的である「グルメ」を提供する飲食業界もそのひとつ。近年では、よりネイティブな食文化を楽しみたいと、ガード下や横丁の焼き鳥屋や居酒屋で夕食を楽しむ外国人も増えている。
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そんな居酒屋でいま、客である外国人とのトラブルが多発しているという。居酒屋をはじめ、主に酒類を提供する日本の飲食店特有のシステムである「お通し」に関するいざこざだ。
昨年末、沖縄の地元紙「琉球新報」が報じたところによれば、外国人観光客向けに沖縄観光をサポートする沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)には、居酒屋などのテーブルチャージやお通し代など、メニューに表示がない料金の請求に困惑する外国人から質問が寄せられており、同センターが詳細を確認して店側が非を認めた場合、返金する事例もあるのだという。
店舗側からすれば、お通しは「注文した料理が出るまでの酒のつまみ」であり、「テーブルチャージ」の意味合いも含んだものというのが一般的な認識だ。
しかし、その金額は300~500円と料理1品と同等であるため、システムを理解していない外国人にしてみれば、「頼んでもいない料理になぜ料金を支払わねばならないのか!?」と、不満や憤りを覚えるのも当然だろう。英語のネット掲示板では「お通し」は「Compulsory Appetizers」、つまり「強制的な前菜」と翻訳され、たびたび非難の的となっている。
実のところ、そうした日本特有の「お通しシステム」には外国人はおろか、これまで当たり前のものと捉え享受してきた日本人からも非難の声が上がり始めている。2009年にYahoo!が行った意識調査(回答数:76,339票)によれば、「お通しは出して欲しい?」という質問に対し、「無料なら出して欲しい」が77%、「無料でもいらない」が17.3%と、実に94.3%が否定的な回答となった。
来店後、おしぼりと一緒に提供されるお通しは、居酒屋でのお馴染みの光景である。この日本の飲食店特有のシステムであり文化は、本当に必要ないものなのだろうか。
不満の理由は「強制感」「質の悪さ」「説明不足」
外国人観光客から「強制的な前菜」と非難される、居酒屋のお通し。システムの理解云々以前に、その不満は文化的な背景によるものも大きい。欧米ではビジネスをはじめ、ショッピングにレストランでの食事であれ、その売買は売り手と買い手双方の合意に基づく契約が基本となる。
つまり、料理の内容と価格が適正ならば納得(=合意)し、客は注文し、店は調理する(=契約)という認識であり、合意も契約もせぬまま問答無用で提供され、サービスと思いきや会計時に料金を払わされるお通しには納得できないという不満は、ある意味、当然の反応といっていいだろう。