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グレートなトランプのボキャ貧

2017年05月16日(火)18時30分

グレートな大統領のグレート?なツイート Carlo Allegri-REUTERS

<就任から100日までのトランプの全ツイートを分析し、大統領の本質に迫った>

トランプ米大統領のツイートが止まる気配は全くない。彼はこのソーシャルメディアを使って敵や「フェイクニュース」を攻撃。自身のテレビ出演や、本人の言葉を借りれば「不誠実なメディアには報道させたくない」要人との会談を宣伝し、支持者に直接語り掛けてきた。

就任から100日までのツイート総数は500ちょっと。本誌は専門家が開発した情報処理法を使い、100日間のツイートに出てくる9152語を分析し、大統領の本質に迫ってみた。

おなじみの「フェイクニュース」という言葉は30回使われた。100日間に「落ち目の@ニューヨーク・タイムズ」というフレーズを15回使って同紙を攻撃している。もっとも読むのはやめていないようだが。

最も頻出しているのは「グレート」で、その数は86回。例えば「すごい会談」「すごい栄誉」で、他の単語との組み合わせは8つある。「アメリカを再び偉大に」は24回。「グレート」は大統領のお気に入りの言葉になった。

多くの人はトランプを「負の政治」と結び付けがちだ。しかし、意外にもツイートの%が前向きな内容だった。

もっとも、ツイートで「怒り」こそ爆発させなくても、自分の敵について触れるときは嫌悪感をにじませる。ニューヨーク・タイムズ、CNN、民主党、オバマ前米大統領をこき下ろすツイートでは、政敵の彼らをいかに自分が軽蔑しているかをフォロワーに伝えようとしている。

分析で分かったのはトランプのツイートに豊富な語彙や複雑な文章はないということだ。カーネギー・メロン大学コンピューターサイエンス大学院も16年大統領選でのトランプの演説を分析したが、彼の文法は小学5年生レベルと結論付けている。

トランプはツイートで約9000語を使用しているが、単語の種類は2215だけ。一般に用いられる英単語数は17万1476とされるから、トランプの語彙は貧弱だ。英語を母語とする人間が文章を書くときは、少なくとも2万語を使う。

「私はアイビーリーグの大学に通った」と、トランプは大統領選出馬の際に語った。「私は高い教育を受けた。言葉を知っている。最高の言葉を」

実にグレートな皮肉だ。

グレアム・ランクツリー

[2017年5月16日号掲載]

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