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中国がインターポールを政治利用

国際刑事警察機構(インターポール)の孟宏偉総裁(右、2016年8月撮影) REUTERS
<昨年11月、国際刑事警察機構の総裁に中国公安省幹部が選出された。中国が刑事捜査に政治を持ち込むのではないかと懸念されたが、それが今、現実となっている>
190の国・地域が加盟する国際刑事警察機構(インターポール)の総裁に、中国公安省の孟宏偉(モン・ホンウェイ)次官が選出されたのは昨年11月。刑事捜査に政治を持ち込む中国流のやり方がインターポールに悪影響を及ぼすのではないかと懸念する声は当初からあった。
その懸念がここへきて再燃している。2年前に国外逃亡し、現在はアメリカ在住の不動産王・郭文貴(クオ・ウエンコイ)に対し、インターポールが国際逮捕手配書を発行したからだ。
郭は3月、アメリカの中国語メディアの取材に応じ、中国共産党最高幹部の1人だった賀国強(ホー・クオチアン)元党中央規律検査委員会書記の一族が、政治的コネを使って大手証券会社の株式をひそかに取得したと告発。さらに詳しい情報を暴露すると予告していた。
この報道の後、インターポールは中国の元高官への贈賄容疑で郭の手配書を出した。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国政府の求めに応じたものだという。
「第19回共産党大会まで、あと半年ほどしかない。習近平(シー・チンピン)国家主席は党内の主導権争いで不利になる動きを嫌がっている」と、中国政治に詳しいジャーナリストのビル・ビショップはこの一件の背景を説明する。
郭は3月のインタビューで、習側近の王岐山(ワン・チーシャン)党中央規律検査委員会書記の名前も出していた。「王一族をめぐる汚職や権力者同士の党内抗争が暴露されれば、党大会に向けた習の人事構想の妨げになりかねない」
だが、郭は国際手配を出されても沈黙しなかった。先週のボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューでは、さらに数人の高官とその一族の汚職や不正行為を告発した。
ただこの番組は放送途中で中断された。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、中国外務省の圧力があったという。
ベサニー・アレン・イブラヒミアン
From Foreign Policy Magazine
[2017年5月2日&9日号掲載]