コラム

生活は苦しいのになぜ? 日本企業が「過去最高の経常利益」を記録...その残念な真相

2022年12月14日(水)08時07分

では、今回の法人企業統計の結果はどう見ればよいのだろうか。本業での儲けに相当する営業利益率の推移を見ると7~9月期の営業利益率は4.0%と、コロナ危機で最悪だった20年7~9月期(2.8%)と比較して大幅な上昇を実現した。だが、コロナ前で経済が正常だった17年7~9月期の数字(4.4%)よりも低く、到底、過去最高の業績とは言い難い。

経済統計を見る場合には、常に絶対額と率について区別する必要がある。株価の変動にしても同じで、日経平均株価が1000円下落したといっても、同株価が1万円台だった10年前と、2万円台後半の今とでは意味がまるで異なる。

10年前における1000円の下落は10%の下落なので、分かりやすく表現すれば暴落となる。だが2万7000円から1000円下落したときの下落率は3.7%にすぎない。株価が高い状態では、過去最大の下落幅という言葉にほとんど意味はない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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