1930年に日本で初めて西洋美術や近代美術を展示する美術館として誕生した、岡山県倉敷市にある大原美術館。当時、倉敷紡績の社長を務めていた設立者の大原孫三郎は、社会問題の改善に尽力しており、その一環としてつくったのが倉敷中央病院である。現在もシンボルとして残る温室は、大原孫三郎が児島虎次郎(大原美術館に展示する絵画を収集した画家)と共に設計したといわれている。その目的は、患者の沈みがちになる気分を慰めるためであり、「病院くさくない明るい病院」という大原孫三郎の理念は現在も受け継がれている。
試験内容は極小の折り鶴と寿司をつくること
多くの診療科では国内でも有数のスタッフ数を抱え、日本における臨床面の指導的立場にある医師も多い。もちろん、手術件数でも多くの分野で中四国地方トップクラスの実績を誇る。そんな地方病院の雄ともいえる倉敷中央病院が、7月15日に研修医希望学生を対象に東京ビッグサイトで開催された合同説明会で、ユニークな実技試験のトライアウトを実施した。その内容とは、「約5mmの折り鶴を15mm平方の折り紙を用いて何羽つくれるか」、「約35mm前後のタマムシを13の部分に分解したものを、もとの形に組み立て直せるか」、「約5mmのひと粒の米の上に極小の刺身を載せた寿司を何貫つくれるか」という3問。
このトライアウトは午後に2回実施され、学生に加えて、参考データをとるために同病院の現役研修医も参加。特に難関とされたのは折り鶴と寿司で、ピンセットやメス、鉗子などを使う器用さに加えて、試験という特殊な環境の中で集中力を維持する精神力の強さが問われる試験となった。折り鶴は2名の学生が3つ完成させたが、研修医はだれも完成させることができず、寿司は学生が最高で8貫、研修医で最高11貫の寿司を完成させるにとどまった。同病院では今回の結果を参考にし、今後行われる本採用試験にも実技を取り入れていく予定だという。