ロシアの衛星、制御不能か 宇宙兵器開発計画後退も

ロシアの対衛星核兵器計画に関係すると米当局が指摘する衛星「コスモス2553」について、制御不能な回転をしており、もはや機能していないとの見方が米国のアナリストから出ている。写真はロシアの「ソユーズ2号」の打ち上げ、2017年11月撮影(2025年 ロイター/Shamil Zhumatov)
Joey Roulette
[ワシントン 25日 ロイター] - ロシアの対衛星核兵器計画に関係すると米当局が指摘する衛星「コスモス2553」について、制御不能な回転をしており、もはや機能していないとの見方が米国のアナリストから出ている。ロシアの宇宙兵器開発計画にとり一つの挫折となる可能性がある。
宇宙空間は新たな戦闘領域と捉えられるようになり、米国、中国、ロシアは宇宙軍を創設したり、巨額を投じてた研究開発や実験を行っている。
コスモス2553は、ロシアがウクライナ侵攻を開始する数週間前の2022年2月5日に打ち上げられた。宇宙放射線が強く通信衛星や地球観測衛星が通常避ける、高度約2000キロメートルの軌道にあり、ロシアは高放射線環境下での搭載機器の試験という研究目的だと説明している。
この1年、異常な回転をしていることが宇宙追跡会社レオラブスのドップラーレーダーデータとスリングショット・エアロスペースの光学データで検知されていた。
レオラブスは昨年11月、衛星の誤動作と思われる動きを検知した。同社のシニアテクニカルフェロー、ダレン・マックナイト氏は「昨年12月、追加のレーダーデータと別の宇宙会社が撮影した画像に基づき、衛星が回転しているとの評価を『高い確信』に引き上げた」とロイターに語った。
米ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は25日に発表した年次宇宙脅威アセスメントの中で、レオラブスの分析について「衛星がもはや運用されていないことを強く示唆する」と述べた。
米政府は、イーロン・マスク氏の会社スペースXの「スターリンク」のような衛星ネットワーク全体を破壊できる核兵器の開発にロシアが何年も前から取り組んでいるとみる。米政府当局者はロシアの対衛星核兵器開発を支援するために打ち上げられたと指摘した。
ロシア国防省からのコメントは得られていない。