ロシア・ウクライナ、黒海・エネ停戦で合意 ロ「制裁緩和が条件」

3月25日、米ホワイトハウスは黒海における船舶の安全な航行確保でウクライナ、ロシア両国と個別に合意したと発表した。モスクワのクレムリンで2月撮影(2025年 ロイター/Maxim Shemetov)
Steve Holland Anastasiia Malenko
[ワシントン/モスクワ/キーウ 25日 ロイター] - 米ホワイトハウスは25日、黒海における船舶の安全な航行確保でウクライナ、ロシア両国と個別に合意したと発表した。双方のエネルギー施設に対する攻撃停止の実現に向けた措置を取ることでも一致した。
米国とロシアの合意はウクライナとの合意より踏み込んだ内容で、ロシアが求めてきた農産物・肥料輸出市場へのアクセス回復を米国が支援するとした。
ロシア大統領府は、西側諸国が穀物と肥料の輸出に関連する制裁措置を解除することを条件に、黒海における安全な航行確保で合意したと発表。合意発効には、ロシア農業銀行による国際送金・決済システム「SWIFT(国際銀行間通信協会)」へのアクセス回復といった制裁緩和が必要になるとした。こうした措置には欧州などの同意が必要になる可能性がある。
ウクライナのゼレンスキー大統領はこれに対し、合意発効のために制裁解除は必要ないと反論。「ロシアは既に合意を歪め、仲介者と全世界を欺こうとしている」と述べた。
ウクライナとロシアはともに、相手が合意を順守するか懐疑的な見方を示し、米国による履行監視を求めるとした。
ロシアのラブロフ外相は「明確な保証が必要だ」とし、米国からウクライナに対する命令によってのみ、その保証が得られるとの考えを示した。
ゼレンスキー氏は合意が直ちに発効するとした上で、ロシア側が違反すれば、トランプ米大統領に対ロ制裁を強化し、ウクライナへの武器供与を拡大するよう求めると述べた。
ウクライナのウメロフ国防相も、ロシアの艦船が黒海東部を超えて移動すれば合意違反と見なすとし、自衛権を行使する姿勢を示した。
トランプ氏は記者団に「われわれは多くの前進をしている」と述べた。「多くの憎しみがある」とも指摘した上で、「人々が集まり、仲裁し、調停し、それを止められるかどうか検討することができる。うまくいくと思う」と語った。
ロシア大統領府は米国の仲介で合意したエネルギーインフラへの攻撃停止について、原子力発電所のほか、石油精製所、原油・天然ガスパイプラインなどが対象に含まれると明らかにした。
また、プーチン大統領が同案についてトランプ氏と協議した3月18日から30日間有効だとした。ウクライナは先週、正式な合意成立後にのみ攻撃停止に応じるとの立場を示していた。
米側はこのところ、ロシアに対する発言を軟化させており、ウィットコフ中東担当特使は23日、「(プーチン氏は)平和を望んでいると感じる」などと発言。これに対し、ラブロフ外相はウクライナを支援する欧州を考慮に入れていないと懐疑的な見方を示した。