ニュース速報
ワールド

カナダ中銀、0.25%利下げ決定会合で据え置きも検討=総裁

2025年03月13日(木)10時45分

 3月12日、カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁(写真)はインタビューで、主要政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げて2.75%とすることを決めたこの日の会合で「2.75%への利下げだけでなく、3%に金利を据え置く選択肢についても議論した」と明らかにした。3月12日、オンタリオ州のオタワで撮影(2025年 ロイター/Blair Gable)

Promit Mukherjee Caroline Stauffer

[オタワ 12日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は12日のインタビューで、主要政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げて2.75%とすることを決めたこの日の会合で「2.75%への利下げだけでなく、3%に金利を据え置く選択肢についても議論した」と明らかにした。

トランプ米大統領がカナダからの輸入品に課した関税を背景に貿易の行方が不確実な中で、カナダ中銀はインフレ圧力と経済成長率の低下に懸念を示している。

マックレム氏は関税を巡る不確実性が少し和らぐまで待つのも選択肢だったとしながらも、内需が影響を受けてインフレ率が2%前後で推移しているため「最も適切な行動は政策金利を引き下げることだった」と打ち明けた。

マックレム氏は2025年第1・四半期の国内総生産(GDP)が年率換算で2%程度になるとの予想から大きく外れることはないものの、貿易戦争の顕著な影響が出るのは第2・四半期になるかもしれないとして「新しい予測はないが、短期的には1月に示した予測より弱くなると思う」と語った。

トランプ米政権は12日、全ての国からの鉄鋼・アルミニウムの輸入に25%の関税を課すと表明した。こうした関税はカナダでも企業の投資計画や個人消費のパターンに打撃を与え、今後数四半期にわたって経済成長を減速させ、失業者を増やし、インフレ率を急拡大させると予想されている。

マックレム総裁は「関税問題をインフレ問題に発展させるわけにはいかない」として、経済に深刻な衝撃が走った場合予定していなかった金融政策で介入することも否定しないと明らかにした。「米国が新たな貿易政策、新たな関税で同盟国を攻撃することを私は理解できない」とも言及した。

一方、米連邦準備理事会(FRB)が1月にウェブサイトから「多様性と包括性」の項目を削除したことに絡み、カナダ中銀は多様性の政策を放棄するつもりはないと表明。「多様な視点を持ち、カナダ人の多様性を反映した人材をカナダ銀行に迎えることがカナダ銀行にとって良いことだ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米石油大手幹部、トランプ氏と来週面会 関税やLNG

ワールド

インドネシア財政収支、1─2月は対GDP比0.13

ワールド

ロシア西部のウクライナ軍排除作戦、最終段階に=クレ

ワールド

気候変動対策の銀行組織が規約変更か、1.5度以内目
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「腸の不調」の原因とは?
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 5
    株価下落、政権幹部不和......いきなり吹き始めたト…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    トランプ第2期政権は支離滅裂で同盟国に無礼で中国の…
  • 8
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 9
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 10
    「トランプの資産も安全ではない」トランプが所有す…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 8
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中