ニュース速報
ワールド

米の対中関税で世界的貿易戦争なら豪州は「敗者」=中銀副総裁

2025年03月05日(水)07時47分

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のハウザー副総裁は3月5日の講演で、米国の中国に対する追加関税が引き金となって世界的な貿易戦争が本格化すれば、オーストラリアは「敗者」になると警告し、先月に利下げを決めた要因の1つはそうしたリスクだと説明した。2018年2月、シドニーのRBA前で撮影(2025年 ロイター/Daniel Munoz)

[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のハウザー副総裁は5日の講演で、米国の中国に対する追加関税が引き金となって世界的な貿易戦争が本格化すれば、オーストラリアは「敗者」になると警告し、先月に利下げを決めた要因の1つはそうしたリスクだと説明した。

ハウザー氏は「オーストラリアはグローバル経済、特に中国としっかり結び付き、これに依存している。だからわれわれにとってより大きなマクロ経済上のリスクは、米国の第3国への関税発動が世界的な貿易戦争のきっかけとなり、それがわが国の幅広い貿易・金融網を損なう事態だ」と語った。

その上でハウザー氏は、世界的な貿易戦争勃発の可能性がRBAによる4年余りぶりの利下げ決定に影響を与えたと指摘。利下げは物価上昇率が目標圏の2-3%の中心を下回るリスクも減らしたと付け加えた。

ハウザー氏は「金融政策は時差を伴って効果を発揮するので、過去ではなく将来を見据えなければならない」と強調した。

またハウザー氏は、持続可能な失業率の水準は下振れしている可能性もあるが、RBAはなお労働市場が引き締まっていると判断しているとの見方を示した。

こうした理由からRBAは追加利下げについて慎重姿勢を維持し、まずは物価情勢がさらに改善するのを見極める方針だ。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

セルビア議会で発煙筒、野党議員が抗議デモに連帯 け

ワールド

原油先物は続落、OPECプラス増産や米関税で需要減

ビジネス

地政学的緊張、資本フローの反転引き起こす可能性も=

ワールド

南アGDP、第4・四半期は前期比0.6%増 プラス
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政権の対カナダ25%関税
  • 3
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与える方法とは?
  • 4
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』が禁書に…
  • 7
    「70年代の日本」を彷彿...発展を謳歌する「これから…
  • 8
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 9
    米ウクライナ首脳会談「決裂」...米国内の反応 「ト…
  • 10
    米大統領執務室での「公開口論」で、ゼレンスキーは…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 8
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 9
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 10
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中