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トランプ氏、ウクライナ安保巡る英の要請に取り合わず 首脳会談

2025年02月28日(金)08時18分

トランプ米大統領は27日、ホワイトハウスで英国のキール・スターマー首相と会談した。同日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

Jeff Mason Elizabeth Piper

[ワシントン 27日 ロイター] - トランプ米大統領は27日、ホワイトハウスで英国のスターマー首相と会談した。トランプ氏はウクライナとの鉱物資源協定がウクライナの必要とする安全保障だと述べ、米国の軍事支援拡大を求めるスターマー氏の要請に取り合わなかった。

スターマー氏は大統領執務室でチャールズ英国王からの国賓訪問の招待状を手渡した。トランプ大統領はこれを承諾した。

ただ、その後の非公開会談でも、両国間の根本的な相違点は残った。その中には、ウクライナ戦争の終結を目指した米ロ会談を巡る欧州の反発も含まれている。

スターマー氏は、欧州諸国がウクライナに平和維持部隊を派遣する場合、米国が安全保障上の「バックストップ(非常時の予防措置)」を提供する必要があると述べていた。

しかしトランプ氏はこれをほぼ否定した。

ロシアおよびウクライナとの和平交渉についてトランプ氏は「非常に順調に進んでいる」との見解を示したほか、交渉におけるロシアの行動を称賛。また、ロシアのプーチン大統領が約束を守るとの楽観的な見方を示し、「かなり早く実現するか、まったく実現しないかのどちらかだ」と述べた。

その上で、「ロシアは非常に良い対応をしていると思う。合意に向けてかなり前進していると思うが、まだ合意には至っていない」とした。合意が成立するまで平和維持活動の詳細については協議しないとも述べた。

プーチン大統領は信頼できるかと問われると、トランプ氏は「信頼し、検証する」と答えた。

スターマー氏はトランプ氏に「対話方法を変え、和平協定を結ぶ可能性を生み出してくれた」と謝意を表明。その後のトランプ氏との共同記者会見では「われわれは正しいことをしなければならない。侵略者に利益をもたらす平和であってはならない」と述べた。

スターマー氏に先立ち、フランスのマクロン大統領も24日にホワイトハウスを訪れ、ウクライナ問題を協議した。その際にも大きな相違が示された。

ウクライナのゼレンスキー大統領も28日にホワイトハウスを訪問し、重要鉱物に関する合意に署名するとみられている。トランプ氏は、この合意はウクライナにとってのバックストップとなるだろうと述べた。

<貿易協定>

トランプ氏はスターマー氏との共同記者会見で、両国が二国間貿易協定を交渉中だと述べ、この協定が英国にとって米国の関税回避につながる可能性があると指摘した。

貿易協定の概要で「非常に近いうちに」合意できると述べ、ベセント財務長官、バンス副大統領、ラトニック商務長官、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)が協定締結に向けた取り組みを主導すると語った。

スターマー氏が相互関税を免除するようトランプ氏を説得したかとの質問には「彼は努力した」と答え、スターマー氏の交渉力を称賛した。

トランプ氏は「関税が必要にならない真の貿易協定を締結できる可能性は十分にあると思う。いずれ分かるだろう」と語った。

スターマー氏は、両国がすでに強固な貿易関係をさらに強化するため、人工知能(AI)など先端技術を中核とした新たな経済協定の策定に着手したと述べた。

「われわれは、これらの新技術を過剰に規制するのではなく、新技術がもたらす機会を捉えようとしており、先端技術を中核とする新たな経済協定の策定に向けた作業をさらに進めることを決定した」と語った。

トランプ氏は英国と早期に合意できるとの考えを示した。

ロイター
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