イラン核合意、「時間切れ近づく」=IAEA事務局長

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は2月14日、イランがウラニウムの濃縮を加速させており、核開発を抑制するための合意が時間切れに近づいていると警告した。ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議で発言した。4日、ウクライナ(地名は非公開)で撮影(2025年 ロイター/Valentyn Ogirenko)
John Irish
[ミュンヘン 14日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は14日、イランがウラニウムの濃縮を加速させており、核開発を抑制するための合意が時間切れに近づいていると警告した。ドイツで開催されたミュンヘン安全保障会議で発言した。
トランプ大統領が第1次政権時に2015年のイラン核合意から離脱したのを受け、イランは19年から核開発を強化している。
トランプ氏がイラン関係書類を扱うチームや特使をまだ任命していないため、15年の合意に加わった英国、フランス、ドイツなどの同盟諸国は今後の方針を見通せない状態だ。
グロッシ氏は「米国のイラン特使が任命され、われわれが意見交換を始めて次のステップを見通せるようになるのを待ちわびている」と強調。「時間切れが近づいていると考えているが、それは、われわれが迅速に行動できないということを意味しない」と述べた。
同氏は、イランが濃縮度60%までのウランの月間生産量を約7倍に増やす過程にあると説明。IAEAが次回の報告を行う数週間後までに、イランは濃縮度60%までのウランを約250キロ保有する可能性が高いと述べた。
IAEAの基準によると、これは理論的に、さらに濃縮することで6つの核爆弾を製造するのに十分な量だ。
グロッシ氏は「これは明らかに深刻に受け止めるべき兆候だ。だからこそ、これ以上時間を無駄にしてはならないと考える」と語った。