米印首脳会談、貿易と関税巡る対立解消へ協議開始で合意

2月13日、トランプ米大統領は、ワシントンを訪問したインドのモディ首相と会談した。インドが関税引き下げや米国産石油・ガスおよび戦闘機の購入拡大など、貿易戦争回避につながる可能性のある譲歩について協議することを申し出たと明らかにした。ホワイトハウスで撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
Trevor Hunnicutt David Brunnstrom Nandita Bose
[ワシントン 13日 ロイター] - 米国とインドは13日、早期の貿易協定締結と関税を巡る対立解消に向けた協議を開始することで合意した。インドは米国産石油・ガスと軍装備品の購入拡大や不法移民対策を約束した。
一連の合意はトランプ米大統領とモディ印首相がホワイトハウスで会談した後に発表された。
トランプ氏はこれに先立ち、インドにおける米国企業の事業環境を非難し、米国の輸入品に関税を課している全ての国に相互関税を課すと発表した。
インド外務省高官によると、貿易を巡る懸念の解消に関する合意は今後7カ月内に実現できる可能性がある。
会談後の共同声明によると、米国はインドが最近になって一部の米国製品に対する関税を引き下げ、米国産農産物の市場アクセスを拡大したことを歓迎したほか、今年秋までに貿易協定の初期段階交渉を目指す。
トランプ氏は会談後の共同記者会見で、インドは戦闘機を含む米防衛装備品の購入を「数十億ドル」増やしたいと考えていると述べた。「最終的にインドにF35ステルス戦闘機を提供する道も開いている」と語った。米国が石油とガスの「供給国トップ」になる可能性があるとも述べた。
前出のインド高官はF35戦闘機購入について、現時点では提案だとし、正式なプロセスは始まっていないとした。
モディ氏は両国が2030年までに2国間貿易を5000億ドルに倍増させる目標を掲げており、互恵的な貿易協定を早期に締結できるよう取り組むと述べた。
両国が人工知能(AI)・半導体分野で協力し、戦略的鉱物の強力なサプライチェーン(供給網)構築に注力するとも語った。
ホワイトハウスは合意に関するコメント要請に応じなかった。
<「国益を最優先」>
トランプ氏は1期目にモディ氏と良好な関係を築いたが、この日は再び、インドの関税は「非常に高い」と述べ、相応する関税を課すと表明した。
記者会見で「われわれはインドと相互関係にある」とし、「インドが課すものはわれわれも課す」と話した。
一方、モディ氏もインドの国益を守ると表明。「私がトランプ大統領から学び、深く評価していることの一つは、彼が国益を最優先していることだ」とした上で、「彼のように私もインドの国益を最優先する」と述べた。
両首脳はまた、中国を念頭にインド太平洋での安全保障協力を深化させることで合意した。
モディ氏はギャバード米国家情報長官とも会談し、テロ対策やサイバーセキュリティー分野での協力強化について協議した。
実業家のイーロン・マスク氏とも、宇宙開発やテクノロジーなどを巡り協議した。