インド、米関税で中国産鉄鋼流入か 中小メーカーに廃業リスク
2月11日、インド鉄鋼業界の複数の経営幹部は、トランプ米大統領による鉄鋼・アルミニウムの輸入関税引き上げで中国産がインドに流入し、国内の中小メーカーが廃業に追い込まれるリスクが生じると警戒感を示した。写真は赤熱した鋼を鍛造する作業員。インドの西ベンガル州の工場で昨年4月撮影(2025 ロイター/Sahiba Chawdhary)
Neha Arora
[ニューデリー 11日 ロイター] - インド鉄鋼業界の複数の経営幹部は11日、トランプ米大統領による鉄鋼・アルミニウムの輸入関税引き上げで中国産がインドに流入し、国内の中小メーカーが廃業に追い込まれるリスクが生じると警戒感を示した。
既にインドのメーカー各社は、鉄鋼生産国からの割安な輸入品の増加による競争激化に直面している。
ステンレス鋼メーカー、シナジー・スチールズのアヌブハブ・カトゥリア社長は「関税引き上げで、中国などアジア諸国の(低コストな)輸出品がインドに振り向けられる。ダンピング(不当廉売)による競争激化が国内価格の下落圧力を生み、インドの中小メーカーに悪影響を及ぼす」と懸念を示した。
ロイターは昨年12月、インドの鉄鋼価格が安価な輸入品に圧迫されて既に下落基調にあり、中小メーカーが人員削減を検討していると伝えていた。国内最大手JSWスチールの2024年10─12月期決算は、市場予想を上回る減益となった。
ある鉄鋼メーカー幹部は「セーフガード(緊急輸入制限)がないため、インドに鉄鋼を振り向ける国々に対する自衛策が必要だ」と話した。
インドは23─24年度に鉄鋼の純輸入国に転じており、輸入抑制策として一時的な課税を検討中。一方、インド鉄鋼協会は、米国の関税免除を得るため、政府に介入を求めている。