バイデン氏、APECなど最後の首脳外交へ出発 影落とすトランプ氏の存在
バイデン米大統領(写真右)は11月14日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と20カ国・地域首脳会議(G20サミット)出席のため南米に向けて出発した。左は中国の習近平国家主席。昨年11月、カリフォルニア州で撮影(2024年 ロイター/Kevin Lamarque)
Jarrett Renshaw
[ワシントン 14日 ロイター] - バイデン米大統領は14日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議と20カ国・地域首脳会議(G20サミット)出席のため南米に向けて出発した。
バイデン氏にとって最後の首脳外交だが、これらの会議で注目を浴びるのは、同氏ではなくトランプ次期米大統領の方になる公算が大きい。
APEC首脳会議はペルー首都リマで15─16日に、G20サミットはブラジルのリオデジャネイロで18─19日に開かれる。
戦略国際問題研究所(CSIS)の地政学・外交部門プレジデント、ビクター・チャー氏は「APECとG20の話題はトランプ氏と、同氏の次期政権が貿易や国際同盟関係などについてどういった姿勢を見せるかに尽きる」と言い切った。
バイデン氏は大統領に就任すると、第1次トランプ政権下でぎくしゃくした米国と同盟国の関係再構築に奔走し、北大西洋条約機構(NATO)の強化・拡大や、インド太平洋地域で中国に対抗するためのアジアの多国間同盟の枠組みづくりを精力的に進めた。
しかしトランプ氏はバイデン氏と根本的に考えが異なり、二国間による話し合いを重視する。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は13日、バイデン氏が今回の一連の会議について、米国が同盟関係を大事にして、資源を投じるとのメッセージを発信し、世界的な諸問題への対応に協力してくれた首脳に感謝する機会にするだろうと説明した。
「これは原理原則、現実主義、そしてバイデン大統領の政治人生を貫いてきた大義の1つを表すメッセージだ」という。
バイデン氏はAPEC首脳会議中の16日、中国の習近平国家主席と会談する予定。2人が対面で話し合うのは昨年初め以来。バイデン氏にとっては、台湾問題や人権、ウクライナ 戦争での中国のロシア支援などで習氏の姿勢に異を唱える最後のチャンスになる。
サリバン氏によると、バイデン氏は習氏にトランプ氏のメッセージは伝達しない。ただ軍事衝突を避ける必要性には言及しそうだ。
バイデン氏は石破茂首相、韓国の尹錫悦大統領との3カ国首脳会談や、ブラジルのルラ大統領との会談も行う。
CSISのエリン・マーフィー氏は、今回の会議はバイデン氏にとって最後の晴れ舞台にはならないと予想。後任の人物(トランプ氏)が全く違う政策を遂行しようとしている以上、バイデン氏の影響力は極めて乏しいとの見方を示した。