ニュース速報
ワールド

米「イランがロシアにミサイル供与」、欧米相次いで制裁発表

2024年09月11日(水)04時34分

ブリンケン米国務長官(右)は10日、ロシアがイランから弾道ミサイルを受け取っており、数週間以内にウクライナで使用する公算が大きいという認識を示した。同日撮影(2024年 ロイター/Alberto Pezzali)

[ロンドン/ワシントン 10日 ロイター] - ブリンケン米国務長官は10日、ロシアがイランから弾道ミサイルを受け取っており、数週間以内にウクライナで使用する公算が大きいという認識を示した。ロシアとイランの協力は欧州全体の安全保障を脅かすとも警告した。

これを受け、米英などはイランによるロシアへの兵器供与に関与が疑われる個人や団体に新たな制裁措置を導入すると発表。イランはロシアへのミサイル供与を改めて否定した。

ブリンケン長官は、ラミー英外相とウクライナの首都キーウ(キエフ)を11日に訪問する。長官は訪問に先立ち、記者団に対し、ロシアへ弾道ミサイル供与が「重大なエスカレーション」になると、米国がイランに非公式に警告したと明らかにした。

ブリンケン氏は、同盟国などと共有されている情報に言及し、「ロシアはこれらの弾道ミサイルを積んだ輸送品を受け取っており、数週間以内にウクライナ国内でウクライナに対して使用する可能性が高い」と述べた。

イランのミサイルがより近い標的に対し使用できるため、ロシアは自国の兵器をウクライナの最前線からより遠い標的への攻撃に使用できるようになるとも指摘。「こうした展開とロシアとイランの協力関係の強化は欧州の安全保障を脅かし、イランの不安定化の影響が中東をはるかに超えて及んでいることを示している」と警鐘を鳴らした。

ブリンケン氏によると、イランは数十人のロシア兵士に対し、射程距離が最大121キロの短距離弾道ミサイル「ファス360」の使用訓練を実施している。

また、ロシアはイランが求めている技術を共有しているとし、「核や宇宙関連の情報などが含まれ、双方向的な動きだ」と述べた。

<欧米、相次いで制裁発表>

米国は、イランからロシアへの兵器移送に関与が疑われるロシア船籍の船舶9隻を特定し、制裁対象に指定した。すでに制裁対象としているイラン航空のほか、ロシアとイランの軍事協力への関与が疑われる企業や個人にも追加制裁を導入。イランおよびロシアに拠点を置く9団体と10人の個人に対する制裁を課した。

独仏英3カ国は、イランによるロシアへの短距離弾道ミサイルの移送を強く非難する共同声明を発表。イランとの航空サービス協定を破棄し、イラン航空などに対する制裁を課す姿勢を示した。

これとは別に、英国は7件の対イラン制裁、3件の対ロシア制裁を発表。欧州連合(EU)も「強力」に対応すると表明した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日鉄、ホワイトハウスが「不当な影響力」と米当局に書

ワールド

米議会、3月半ばまでのつなぎ予算案を可決 政府閉鎖

ワールド

焦点:「金のDNA」を解読、ブラジル当局が新技術で

ワールド

重複記事を削除します
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、何が起きているのか?...伝えておきたい2つのこと
  • 4
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 5
    映画界に「究極のシナモンロール男」現る...お疲れモ…
  • 6
    「たったの10分間でもいい」ランニングをムリなく継続…
  • 7
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 8
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「汚い観光地」はどこ?
  • 10
    トランプ、「トレードマークの髪型」に大きな変化が.…
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 7
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 8
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 9
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 5
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中