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焦点:仏選挙「極右バブル」はじける、有権者に広がった不安

2024年07月08日(月)17時05分

 7日のフランス国民議会(下院)総選挙の決選投票で、大勝利を祝おうと準備万端だった極右「国民連合(RN)」本部は、テレビで予想議席数の第一報が伝えられると、にわかに信じられない現実を突きつけられた。パリで撮影(2024年 ロイター/Sarah Meyssonnier)

Elizabeth Pineau

[パリ 7日 ロイター] - 7日のフランス国民議会(下院)総選挙の決選投票で、大勝利を祝おうと準備万端だった極右「国民連合(RN)」本部は、テレビで予想議席数の第一報が伝えられると、にわかに信じられない現実を突きつけられた。

何日も前から党の顔であるマリーヌ・ルペン氏はRNの過半数議席獲得と、同氏が引き立てたバルデラ党首の首相就任を確信していた。ところがいざ蓋を開けてみれば、第1党になりそうなのは左派連合「新人民戦線(NFP)」で、RNはマクロン大統領が率いる中道連合にも抜かれて3位にとどまる情勢だ。

中道と左派がRNの政権奪取を阻止しようと、決選投票に向けて反極右票を集約するため200人余りの「3位候補」の出馬を取り下げる選挙協力を行った効果が大きい。ルペン氏による入念な党のイメージ向上作戦や、移民と生活費高騰、不十分な公共サービスなどを巡る国民の怒りを取り込む戦略を通じて「向かうところ敵なし」に見えたRNの躍進は、ブレーキがかかった。

過去にもルペン氏とRNは挫折を経験し、直近では2022年の大統領選でマクロン氏と対決したルペン氏が敗北。そこから以前よりも強力な政党として盛り返してきたものの、当面は今回の結果を再び苦い教訓として受け入れなければならない。

「勝利集会」に参加しようとRN本部を訪れたジョスリン・クーザンさん(18)は「結果には失望しているし、彼らはフランス国民の要望を体現できていない」と厳しい口調で話した。

6月の欧州連合(EU)欧州議会選や、下院総選挙第1回投票では、RNの勢いを止めることはできないように見受けられた。

それにもかかわらず決選投票で失速した原因についてルペン氏とバルデラ氏は、反RNの「不名誉な同盟」の存在を挙げた。バルデラ氏によると、これらの同盟がRNを「戯画化」し、RN支持者たちをことさら「見下した」という。

ただ、調査会社のイプソスで世論調査を手がけるブライス・テインチュリア氏は、決選投票前に何人かの候補者が外国人嫌悪を表明したことなどに触れ、RN自らが失点したと指摘。有権者の間に、果たしてRNがより過激的だった過去を本当に捨て去ったのかどうか疑問が広がったとの見方を示した。

テインチュリア氏は「フランス2」テレビで、RNの各候補は政権を担う準備ができていないか、反ユダヤ主義や外国人嫌い、同性愛嫌いであることも選挙期間中に判明したと述べた。

<強気を維持>

北西部ブルターニュの選挙区でマクロン氏陣営の候補に敗れたRNのフロラン・ドゥケルソーソン氏は、一部候補の言動による影響はあったと認めつつも、過半数獲得を見込んでいたRNの傲慢さを有権者が感じ取った可能性もあるとみている。「過半数は実際には実現が非常に難しかったように思われる」と漏らした。

ルペン氏とバルデラ氏は強気の姿勢を崩すまいと必死で、RNの下院議席数は過去最高になったし、政権獲得まで戦い続けると意気込みを見せた。

27年の大統領選で4回目の出馬を目指す公算が大きいルペン氏は「波は上向きだが、今回は十分な高さにはならなかった。われわれの勝利は単に先送りされただけだ」と強がった。

ルペン氏側近でパリ北部の選挙区から当選したフレデリック・ピエール・ボス氏は、決選投票でどの政党も過半数を握れずに「宙ぶらりん議会」となり、フランスの政治混乱が続けば、27年はRNにとってチャンスになると予想している。

ロイター
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