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第4次安倍内閣が発足、補正編成指示 賃上げ加速とデフレ脱却に意欲

2017年11月01日(水)23時33分

 11月1日、第4次安倍晋三内閣が発足し、初閣議で2017年度補正予算案の編成を指示するとともに、衆院選で公約に掲げた教育無償化を柱とする2兆円規模の政策パッケージ策定着手する(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 1日 ロイター] - 第4次安倍晋三内閣が1日発足し、初閣議で2017年度補正予算案の編成を指示するとともに、衆院選で公約に掲げた教育無償化を柱とする2兆円規模の政策パッケージ策定着手する。同日夜の会見で安倍首相は、賃上げの流れを加速させデフレ脱却を確実にすると述べるとともに、5日から来日するトランプ米大統領との首脳会談では、北朝鮮情勢への対応を協議するとした。また、注目されている日銀総裁人事は「白紙」と述べた。

第4次の内閣を組織する首相は、1952年10月の吉田茂氏以来、約65年ぶりとなる。また、安倍首相の在任期間は、1日現在で佐藤栄作、吉田茂両元首相に次ぐ戦後3位の長さとなっている。

安倍首相は1日夜の会見で、初閣議で新たな政策パッケージ策定と補正予算編成を指示すると指摘。同パッケージは12月上旬に取りまとめるとともに、補正予算には防災・減災対策、日欧経済連携協定(EPA)受けた農林水産業の強化策などを盛り込む方針も示した。

さらに来年の春闘を含む賃上げの加速にも強い意欲を示し、そのことをてこにデフレ脱却を確実にする方針を明確に示した。

この5年間のアベノミクスの中心であった日銀の金融政策の成果にも言及。政府・日銀は「雇用面で大きな成果を挙げた」と強調。日銀の黒田東彦総裁の手腕を信頼し、金融政策は任せてきたと述べた。

ただ、来年4月で任期満了となる黒田総裁の後任については「全くの白紙」と述べるにとどまった。

一方、外交面では、5日に来日するトランプ大統領との日米首脳会談で「十分に時間をかけて北朝鮮の最新情勢を分析する」と述べた。

安倍首相は1日午前、第3次安倍第3次改造内閣の総辞職を決め、同日午後の衆参両院の本会議で、首相に指名され、直ちに組閣作業に入った。

同日夕には菅義偉官房長官が、全閣僚の留任を発表。自民党の役員人事でも党四役を続投させ、憲法改正推進本部の保岡興治本部長の後任には、細田博之前総務会長を起用した。憲法9条への自衛隊明記を柱とする憲法改正に向け、本格的な議論を自民党が主導する布石を打ったとみられている。

ただ、1日夜の会見で安倍首相は「スケジュールありきではない」と語り、広範な国民の支持を丁寧に得ていく方針も示した。

1日に召集された特別国会の会期は、12月9日までの39日間。安倍首相の所信表明演説や各党の代表質問、衆参の予算委での審議など具体的な日程が、与野党で調整される見通し。

17年度補正予算案と18年度当初予算案は、特別国会閉会後の12月下旬にかけ閣議決定し、年明けの通常国会に提出する。

安倍首相が衆院選で説明してきた「少子高齢化」と「北朝鮮問題の深刻化」という政策課題に対し、具体的にどのような成果を挙げていくのか。待ったなしの対応が求められている。

(ロイター日本語ニュース 編集:田巻一彦)

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