ニュース速報

ワールド

スペイン、独立巡りカタルーニャに説明要求 自治権停止を視野

2017年10月12日(木)07時23分

 10月11日、スペインのラホイ首相(写真)は、北東部カタルーニャ自治州の独立問題について、独立を宣言したかどうか公式な立場を表明するよう自治政府に求めた。(2017年 ロイター/Sergio Perez)

[マドリード/バルセロナ 11日 ロイター] - スペインのラホイ首相は11日、北東部カタルーニャ自治州に対し、独立を宣言したかどうか公式な立場を示すよう求め、独立を宣言したのであれば8日以内に撤回するよう要求、撤回しない場合は憲法155条に基づいて同州の自治権を停止する考えを示した。

ラホイ首相は自治権停止後に州議会選挙を前倒しで実施する可能性が高い。

カタルーニャ州のプチデモン首相は10日、象徴的な独立宣言をしたものの、その後直ちに、効力は一時停止すると発表し、中央政府との対話を求めた。

ラホイ首相はテレビ中継された演説で「内閣はカタルーニャ政府に対して、独立を宣言したのか、していないのか確認することを公式に要求することで合意した」と表明。「カタルーニャからの回答が今後の流れを決める。数日中に決まる」とし、今後も「慎重かつ責任ある形で」行動すると述べた。

ラホイ首相はその後、スペイン議会で、カタルーニャ州政府は10月16日0800GMT(日本時間午後5時)までに回答しなければならないと述べた。また、独立を宣言したと認めた場合、3日後の19日0800GMT(同)までに撤回しなければならないとし、撤回しない場合は憲法155条を発動すると言明した。

カタルーニャ州がこの要求に応じるかどうかは不透明だ。プチデモン首相が独立を宣言したと認めれば、中央政府の介入を招くことになる。一方、宣言していないと回答すれば、極左政党CUPは州政権への支持を取り下げる公算が大きい。

調査会社テネオ・インテリジェンスの副ディレクター、アントニオ・バローゾ氏は「ラホイ首相には2つの狙いがある。プチデモン首相があいまいな立場を維持すれば、独立推進派の足並みが乱れることが予想され、逆に独立を擁護する立場を貫けば、憲法155条の発動が可能になる」と述べた。

その上で、いずれにしても、ラホイ首相はカタルーニャの法秩序を回復した上で、ある段階で地方選挙を前倒しする可能性があるとの見方を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロシア経済に過熱の兆候、中銀はバランス取れた決定を

ビジネス

為替の動向を憂慮、行き過ぎた動きには適切に対応=三

ワールド

自公国、年収の壁引き上げ幅で協議継続へ 幹事長が確

ビジネス

米ウォルマート、25年と30年の気候変動目標は未達
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 3
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 4
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 7
    「均等法第一世代」独身で昇進を続けた女性が役職定…
  • 8
    米電子偵察機「コブラボール」が日本海上空を連日飛…
  • 9
    クッキーモンスター、アウディで高速道路を疾走...ス…
  • 10
    日産とホンダの経営統合と日本経済の空洞化を考える
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 5
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 6
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 7
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 8
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 9
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 10
    【クイズ】アメリカにとって最大の貿易相手はどこの…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中