ニュース速報

ワールド

英国、EU離脱後の厳格なEU移民規制を検討

2017年09月07日(木)12時25分

 9月6日、英紙ガーディアンによると、英政府は欧州連合(EU)離脱後の移民規制案として、高度な熟練労働者以外のEU移民の流入制限を検討している。写真はファロン英国防相。7月撮影(2017年 ロイター/Peter Nicholls)

[ロンドン 6日 ロイター] - 英紙ガーディアンによると、英政府は欧州連合(EU)離脱後の移民規制案として、高度な熟練労働者以外のEU移民の流入制限を検討している。一部の企業は、移民規制により従業員の確保が難しくなるとの懸念を示している。

ガーディアンはリークされた政府の文書を引用し、国内企業が移民ではなく自国民を可能な限り雇う環境を整えることに政府の力点がシフトしているとの内務省の見解を伝えた。文書は機密に属する草案とされている。

文書は「これはつまり、国家にとって価値があると認められるには、移民政策は移民に恩恵を与えるだけでなく、既存住民の暮らし向きを良くする必要がある」としている。

内務省の広報担当はリークされた文書にコメントしないと述べた。

一方、メイ首相は6日、議会に対し、移民は経済にプラスとなってきたが、EU離脱を決めた昨年の国民投票は、国民が移民流入制限を求めていることを示したと主張した。学校や病院といった公共サービスの負担を軽減し、低所得層を守るために移民流入制限は必要であると語った。

最新のデータでは、移民の純増数は年間24万6000人となっており、メイ首相が「持続可能」とする水準を大きく上回っている。

ファロン国防相もこの日、EU離脱後に均衡のとれた移民政策を進める方針を示した。熟練労働者の確保を目指す一方で全体的な移民流入数を引き下げるとした。

政府はこれまで、移民の影響に関する調査の結果報告を踏まえて移民政策について提案を行う方針を示している。リークされた文書には、「議論の土台」となる提案が盛り込まれたと記されている。

文書は、熟練労働者は3─5年の滞在許可を得ることが可能だが、未熟練労働者の滞在期間は2年に制限することを提案。英国で滞在するEU市民の数を制限する狙いがあるという。

これらの変更は時間をかけて導入され、英政府はEU市民が家族を英国に呼び寄せる権利についても、新たな厳しい制限を設ける可能性があるとしている。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロが電力インフラに大規模攻撃、「非人道的」とゼレン

ワールド

ロシア企業、対外貿易決済でビットコインを既に利用=

ワールド

ロシア貨物船の沈没、「テロ行為」による爆破が原因=

ワールド

米大統領、ウクライナへの武器供与拡大指示 ロの大規
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 2
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシアの都市カザンを自爆攻撃
  • 3
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリスマストイが「誇り高く立っている」と話題
  • 4
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命を…
  • 5
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 6
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 7
    韓国Z世代の人気ラッパー、イ・ヨンジが語った「Small …
  • 8
    ウクライナ特殊作戦による「ロシア軍幹部の暗殺」に…
  • 9
    中国経済に絶望するのはまだ早い
  • 10
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 5
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 6
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 7
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 8
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 9
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 10
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中