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北朝鮮が「水爆」実験と発表、過去最大規模 核保有へ着々

2017年09月03日(日)19時41分

 9月3日午後、北朝鮮国営放送を通じ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載する水爆の実験に成功したと発表した。写真は3日にKCNAが配信した核研究施設を視察する金正恩氏 (2017年 ロイター)

[東京/ソウル 3日 ロイター] - 北朝鮮は3日午後、国営放送を通じ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載する水爆の実験に成功したと発表した。北朝鮮が核実験を実施したのは6回目。爆発の規模は過去最大で、出力は広島に投下された原爆の4倍以上だった可能性がある。北朝鮮は米国本土へ届く長距離核ミサイルを着実に完成に近づけているとみられ、核保有の阻止に向け圧力をかける日米韓に残された時間は少なくなりつつある。

<中ロも非難声明>

朝鮮中央テレビは現地時間3日午後3時に重大放送を流し、金正恩労働党委員長が命じた水爆実験は完全に成功したと発表した。水爆はICBMに搭載するもので、核開発プログラムの完成に向けた「重要な」ステップだったとした。

北朝鮮が挑発行為を繰り返す中、9月9日の建国記念日を前に各国は核実験の実施を警戒していた。安倍晋三首相は「わが国として断じて容認できない」との声明を出し、「北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い言葉で断固として非難する」とした。河野太郎外相は記者団に対し、北朝鮮に対話の意思はないと発言。すべての選択肢があると強調した。

韓国も最大限に強い措置を講じるとしており、日本、韓国、米国は国連安全保障理事会の開催に向けて調整を始めた。菅義偉官房長官は会見で、「北朝鮮に対し、どのような圧力を強化していくことがもっとも効果があるのか、その観点から厳しい対応を真剣に検討していく。原油製品に関する取引規制も含め、さまざまなことが選択肢にある」と述べた。米韓は、戦略兵器を韓国内に配備することも議論した。

北朝鮮に大きな影響力があるとされる中国、北朝鮮問題をめぐって米国をけん制するロシアも核実験を非難する声明を発表した。

<水爆だった可能性、否定できず>

北朝鮮による核実験は、昨年9月に続いて6回目。日本時間の3日午後零時半ごろ、北朝鮮北東部の豊渓里付近で地震が観測された。米地質調査所によると、地震の規模を表すマグニチュードは6.3と、昨年9月の前回実験の5.3よりもはるかに大きな規模だった。日本の気象庁は、前回の10倍以上の大きさと分析している。

小野寺五典防衛相は記者団に対し、「推定出力は70キロトンになると考えられ、過去の実験に比べてはるかに大きなものと認識している。今回の実験が水爆だったことも否定できない内容だったと考えている」と述べた。70キロトンは広島に投下された原爆の4倍以上、長崎の3倍以上。北朝鮮による前回の核実験の出力は11─12キロトンだった。

韓国ソウル大学のKune Y. Suh教授(原子工学)は、「これまでの実験に比べて10倍、20倍の大きさ。その規模であれば水爆と言える」と分析する。

日本は放射能物質の収集のため、集塵装置を積んだ航空自衛隊のT4戦闘機3機を離陸させた。中国も北朝鮮との国境で放射能の観測を開始した。

<核ミサイルの完成時期>

北朝鮮は昨年来、合計30発以上の弾道ミサイルを発射している。今年7月には米国本土に届くICBM級のミサイルを2発、8月には日本上空を通過する中距離ミサイルを1発発射した。

拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司教授は「北朝鮮は米国との対話の前に、手持ちのカードを有利にしたいと考え、なるべく早く核実験をやりたかったのだろう」と分析。「米国に届く核ミサイルが完成するのは、来年春ごろではないか。それ以降は抑止力が効かなくなる」と話す。

米国のマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は谷内正太郎国家安全保障局長と3日午後に電話で協議し、「米国の日本に対する拡大抑止を含めた安全保障上のコミットメントは揺るぎない」と改めて伝えた。

朝鮮中央通信は3日朝、北朝鮮の金労働党委員長が、核兵器の研究所を訪問したと報道。ICBMに搭載する水爆を視察し、「部品はすべて国産だ。これで強力な核兵器を好きなだけ作ることができる」と述べたと伝えていた。

*内容を更新しました

(久保信博、山口貴也、梅川崇、ジャック・キム、スーリン・ウォン、デービッド・ブランストロム 編集:田巻一彦)

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