ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領がドイツ批判、独は関係の重要性を強調

2017年05月31日(水)10時37分

 5月30日、トランプ米大統領(写真)は、対米黒字と軍事費の水準に関してドイツを批判した。写真はアーリントンで29日撮影(2017年 ロイター/Mike Theiler)

[ベルリン 30日 ロイター] - トランプ米大統領は30日、対米黒字と軍事費の水準に関してドイツを批判した。「同盟国を完全には頼れない」としたメルケル独首相の発言に続き、最大野党・社会民主党のシュルツ党首はトランプ氏を「西側の価値観の破壊者」と非難、米独間の対立が先鋭化した。

ただその後、メルケル首相や他の独閣僚らは米独関係の重要性を強調し、ガブリエル外相はこうした対立が一時的なものとの見方を示した。

トランプ氏はこの日ツイッターに「米国は極めて巨額な対独赤字を抱えているうえ、ドイツが北大西洋条約機構(NATO)において支払っている軍事費は限りなく少ない。米国とって非常に好ましくなく、変えていく」と投稿した。

メルケル独首相は前日、同盟国としての米国の信頼性を巡り、あらためて懐疑的な見方を示していた。

ドイツの有力政治家らはトランプ氏のツイッターに素早く反応。シュルツ氏は記者団に対し、トランプ氏が相互尊重と寛容の精神に根付いた国家間の平和的な協力を損なっているとし、「西側のすべての価値観の破壊者」だと述べた。

ドイツ与党メンバーからも、「トランプ氏がドイツを政敵とみているのは明らか」などとの指摘が出た。

一方、ベルリンでインドのモディ首相と会談したメルケル首相は、欧米関係の重要性をあらためて強調。「この関係は歴史的に、そして将来的にも極めて重要であり、対立の道は望まない」との考えを示した。

また、ガブリエル独外相は「米国は目下の対立よりも歴史があり、偉大だ」と述べ、米独関係は改善すると強調した。

米国側も政権関係者が米欧関係の重要性を強調し、トランプ氏の発言を和らげようとする様子がうかがわれた。

スパイサー大統領報道官は記者団に対し「トランプ大統領とメルケル首相の関係は良好で、大統領はメルケル氏を非常に尊敬している。大統領はドイツだけでなく欧州全体を米国の重要な同盟国とみている」と述べた。

ヘイリー米国連大使もインタビューで、米国はNATO諸国を支持すると繰り返し表明した。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、公務員に10年ぶり大幅賃上げ 経済活性化策の

ビジネス

米、国内アンチモン採掘を許可 中国禁輸で調達体制構

ワールド

米政権、イスラエルへの80億ドル武器売却案を議会に

ワールド

焦点:深刻化する世界の飢餓、支援責任果たさぬ大国に
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを拒否したのか?...「アンチ東大」の思想と歴史
  • 2
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...ミサイル直撃で建物が吹き飛ぶ瞬間映像
  • 3
    青学大・原監督と予選落ち大学の選手たちが見せた奇跡...池井戸潤の『俺たちの箱根駅伝』を超える実話
  • 4
    韓国の捜査機関、ユン大統領の拘束執行を中止 警護庁…
  • 5
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に…
  • 6
    イースター島で見つかった1億6500万年前の「タイムカ…
  • 7
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 8
    中高年は、運動しないと「思考力」「ストレス耐性」…
  • 9
    「これが育児のリアル」疲労困憊の新米ママが見せた…
  • 10
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 1
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も助けず携帯で撮影した」事件がえぐり出すNYの恥部
  • 2
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 3
    JO1やINIが所属するLAPONEの崔社長「日本の音楽の強みは『個性』。そこを僕らも大切にしたい」
  • 4
    イースター島で見つかった1億6500万年前の「タイムカ…
  • 5
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 6
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に…
  • 7
    ヨルダン皇太子一家の「グリーティングカード流出」…
  • 8
    「弾薬庫で火災と爆発」ロシア最大の軍事演習場を複…
  • 9
    スターバックスのレシートが示す現実...たった3年で…
  • 10
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中