ニュース速報

ワールド

北朝鮮が弾道ミサイル、高度2000キロ超で新型の可能性

2017年05月14日(日)14時18分

 5月14日、北朝鮮は同国西岸から弾道ミサイル1発を発射した。日本政府は新型ミサイルの可能性もあるとみて分析を進めている。写真は北朝鮮の国旗。スイス・ジュネーブで2014年10月撮影(2017年 ロイター/Denis Balibouse/File Photo)

[東京/ワシントン 14日 ロイター] - 北朝鮮は14日早朝、同国西岸から弾道ミサイル1発を発射した。日本政府は高度2000キロ超に達したと推定。およそ30分間という長時間の飛行時間などと合わせ、新型ミサイルの可能性もあるとみて分析を進めている。北朝鮮に圧力を強める米トランプ大統領は、各国に制裁強化を呼びかけた。

北朝鮮による弾道ミサイル発射は、韓国で文在寅・新大統領が就任して以降初めて。中国が重要政策と位置づけるシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議の開催とも重なった。

米ホワイトハウスはトランプ大統領の声明を発表し、ミサイルが日本よりもロシア領に近くに落下したと指摘。その上で、「すべての国がより厳しい制裁を履行するきっかけになった」とした。

日本政府は北京の外交ルートを通じて北朝鮮に抗議した。安倍晋三首相は官邸で記者団に対し、「断じて容認できない」と発言。「度重なるミサイル発射はわが国に対する重大な脅威であり、国連の安保理決議に明確に違反する」と述べた。岸田文雄外相は韓国の尹炳世外相と、谷内正太郎国家安全保障局長は米マクマスター大統領補佐官とそれぞれ電話で会談した。

日本政府によると、ミサイルは午前5時28分ごろに北朝鮮西岸から発射され、東北東におよそ30分間、約800キロ飛行した。高さは初めて2000キロを超え、北朝鮮東岸約400キロの日本海上に落下した。稲田朋美防衛相は、これまでよりも長い飛行時間や高い高度を踏まえ、「新型の弾道ミサイルだった可能性がある」と語った。

日本の防衛省は、北朝鮮が意図的に角度をつけて高く発射する「ロフテッド」というを撃ち方をしたとみている。北朝鮮が昨年6月にロフテッドで発射した中距離弾ムスダンは、高度1000キロ以上に達し、約400キロ飛行した。

高度2000キロを超える弾道ミサイルは、日米が現有する迎撃ミサイルSM3だけでなく、両国が共同で改良中の同ミサイルでも撃ち落とせない可能性がある。防衛省幹部は「一般論として、高くなるにつれて難しい要素が増えてくるのは間違いない」としたものの、個別の迎撃ミサイルの性能に関わるとして明確な説明は避けた。別の幹部は「北朝鮮のミサイル能力が一定の進展をみせているのは事実だ」と語った。

北朝鮮に圧力を強める米国は、米本土まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の発射を警戒しているが、米太平洋軍は今回のミサイルについて、ICBMの飛び方ではなかったとだけ発表。ICBMであったかどうかは明かにしていない。ロフテッドではなく、通常の撃ち方をしていれば、飛距離が今回の800キロから大きく伸びた可能性がある。通常発射した場合のムスダンの射程は2500キロ─4000キロとされる。

韓国の文大統領にとって、今回のミサイル発射は今月10日に就任して以降初。文氏は発射を強く非難した。大統領府の報道官は「北朝鮮との対話にオープンなことに変わりないが、北朝鮮が態度を変えて初めて可能になる」と語った。

*情報と写真を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国大統領が戒厳令、国会は「無効」と判断 軍も介入

ビジネス

米求人件数、10月は予想上回る増加 解雇は減少

ワールド

シリア北東部で新たな戦線、米支援クルド勢力と政府軍

ワールド

バイデン氏、アンゴラ大統領と会談 アフリカへの長期
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計画──ロシア情報機関
  • 4
    スーパー台風が連続襲来...フィリピンの苦難、被災者…
  • 5
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 6
    なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?.…
  • 7
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    「92種類のミネラル含む」シーモス TikTokで健康効…
  • 10
    赤字は3億ドルに...サンフランシスコから名物「ケー…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 6
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 9
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 10
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中