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英国のEU残留望む、自由市場経済・海洋国家重要=オランダ首相

6月13日、オランダのルッテ首相(写真左)は、英国のEU残留を望んでいると述べた。写真右は英国のキャメロン首相。ブリュッセルで3月撮影(2016年 ロイター/Yves Herman)
[アムステルダム 13日 ロイター] - オランダのルッテ首相は13日、英国民が23日の国民投票で欧州連合(EU)残留を決めることを望んでいると述べた。貿易に強く「船乗り」の歴史を持つ戦略的に重要な国家をEUは必要としているとした。
ブックメーカー(賭け業者)のベットフェアによると、英国のEU離脱派が勝つ確率は13日、大きく上昇し36%に達した。英国のキャメロン首相が4カ月前に国民投票の実施日を発表して以来、最も高い水準となった。
ルッテ首相は「英国はオランダ同様、外に向かって開いた自由市場経済の国だ。両国はともに海洋国家であり、通商や開かれた国境での仕事に慣れている。こうした構造の国が(EUに)残ることは重要だ」と述べた。オランダはEU理事会で2016年上半期の輪番制議長国を務めている。
ルッテ首相は「世界にはたくさんの不安定さがある。もし、世界で最も大きな経済規模を誇る国のひとつが欧州から離脱するようなことがあれば、欧州以外の多くの国が祝杯を上げることになるだろう。私はそのようなことを望まない」とも述べた。
オランダ経済政策分析局(CPB)は9日、英国が欧州連合(EU)を離脱した場合、貿易の低迷でオランダの国内総生産(GDP)が2030年までに1.2%押し下げるとの見通しを発表した。
オランダでは昨年、国民投票を実施しやすくする法律が成立したが、ルッテ首相はこのような国民投票の実施には「完全に」反対だと述べた。
オランダ国内の反EU派は、EUがウクライナとの政治・経済面の関係強化に向けて調印した条約の是非を問う国民投票実施に必要な署名を集めた。4月の国民投票では条約は否決された。条約はEU加盟の28カ国全てが批准手続きを終えており、その中にはオランダの議会両院も含まれる。国民投票での否決は、ルッテ首相の中道右派政権の大きな頭痛の種となっている。
ルッテ首相はハーグで開かれたEU議会のメンバーとの会合で「私は国民投票に完全に反対だ。多国間協定の国民投票は完全に、全く、全面的に反対だ」と主張した。
ルッテ首相は、ウクライナとEUの間の条約に関するオランダの国民投票の結果をいかに尊重すべきかを考えるのに、時間が必要だと述べた。おそらく、部分的に条約の適用免除を交渉することになるとの見方を示唆した。
オランダ政府は英国の国民投票が終わった後に、ウクライナ協定への対応策を発表することが見込まれる。