ニュース速報

ワールド

米SEC、「経営再建の女王」を投資詐欺で訴追

2015年03月31日(火)12時00分

 3月31日、米証券取引委員会(SEC)は30日、ニューヨークの投資家リン・ティルトン氏と彼女が率いる投資顧問会社が、3種類のローン担保証券(CLO)の冴えない資産パフォーマンスを隠ぺいして投資家を欺いたとして訴追した。写真は、米SECのロゴ、2011年6月撮影(2015年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 30日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)は30日、ニューヨークの投資家リン・ティルトン氏と彼女が率いる投資顧問会社が、3種類のローン担保証券(CLO)の冴えない資産パフォーマンスを隠ぺいして投資家を欺いたとして訴追した。

ティルトン氏とパトリアーク・パートナーズは約2億ドルの手数料収入を得ながら、ファンドの資産価値を適正に評価せずに投資家に説明した疑いが持たれている。

ティルトン氏は派手な装いと色彩に富んだ語り口で知られ、男性が支配する分野に積極果敢に挑む女性企業幹部を演じてきた。ティルトン氏はモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスでバンカーを務めた経験があり、経営破たんした企業などの資産を好んで購入することから、自ら「経営再建の女王」と称していた。

パトリアークの広報担当者は、ティルトン氏がSECの申し立てに対し、SECの行政審判手続きで争う方針であることを明らかにした。

行政審判では法執行局の弁護士と被告側の弁護人がSECの審判官に対し互いに主張を展開する。主張が認められない場合はまずSECの5人の委員に不服申し立てを行い、最終的には連邦控訴裁に提訴することができる。

SECによるとパトリアークは投資家から25億ドルの資金を集め、経営不振企業への融資に充てたが、融資先企業の業績は改善せず、数年間にわたって一部または全ての利払いを行わなかった。

その上でパトリアークは運用成績の悪さを隠ぺいし、報酬を2億ドル近く水増ししたとしている。

SECは同社による虚偽の財務報告書の提出についても訴追した。

SECのアンドリュー・セレズニー法執行部長は「ティルトンは顧客に対する受託者責任に違反した」と記者団に語った。

公式記録によれば、2014年2月28日時点でパトリアークの運用資産は約53億ドルだった。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:インド中間層、インフレで支出切り詰め 経

ビジネス

米国株式市場=続落、FRBのタカ派的発言とトランプ

ワールド

ロシア、濃縮ウランの対米輸出を制限 原発に供給リス

ビジネス

NY外為市場=ドル軟調、米金利見通し見直す動き
MAGAZINE
特集:またトラ
特集:またトラ
2024年11月19日号(11/12発売)

なぜドナルド・トランプは圧勝で再選したのか。世界と経済と戦争をどう変えるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制度を利用するため彼らはやって来る
  • 4
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 5
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 6
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 7
    投資家は「東京メトロ」をどう見るべきか...「今さら…
  • 8
    新たな大谷翔平伝説が始まる...「ますますリスペクト…
  • 9
    「ワキ汗」は健康の問題、ひとりで悩まないで──ジェ…
  • 10
    世界の若者を苦しめる「完璧主義後遺症」...オードリ…
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 3
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラッドレー歩兵戦闘車が「戦略的価値を証明」する戦闘シーン
  • 4
    ウクライナ軍ドローン、1000キロ離れたロシア拠点に…
  • 5
    本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベース…
  • 6
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 7
    NewJeansのミン・ヒジン激怒 「似ている」グループは企…
  • 8
    「歌声が聞こえない」...ライブを台無しにする絶叫フ…
  • 9
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 10
    海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「空母化」、米…
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 7
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 8
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中