ニュース速報

ワールド

「イスラム国」覆面男は英国人、裕福な家庭出身の大卒者

2015年02月27日(金)14時38分

 2月26日、日本人ジャーナリスト後藤健二さんらを殺害したとみられる過激派組織「イスラム国」の黒い覆面姿の男、通称「ジハーディ・ジョン」の身元が、クウェート出身の英国人モハメド・エンワジ容疑者であることが分かった。写真は提供された映像から(2015年 ロイター/SITE Intel Group/Handout via Reuters)

[ロンドン/ワシントン 26日 ロイター] - 日本人ジャーナリスト後藤健二さんらを殺害したとみられる過激派組織「イスラム国」の黒い覆面姿の男、通称「ジハーディ・ジョン」の身元が、クウェート出身の英国人モハメド・エンワジ容疑者であることが分かった。ロンドンの裕福な家庭で育ち、大学ではコンピュータープログラムを学んだという。年齢は26歳とされる。

黒覆面の「ジハーディ・ジョン」は昨年夏以降、イスラム国が人質を殺害したとする映像に何度も登場し、英国特有のアクセントで話していた。

エンワジ容疑者の名前を最初に報じたのは米ワシントン・ポスト紙。その後、米当局者2人が匿名を条件にロイターに対し、捜査当局は「ジハーディ・ジョン」をエンワジ容疑者だとみていることを確認した。

同容疑者を過去に支援していたという英人権団体「ケージ」のアシム・クレシ氏によると、同容疑者はクウェート生まれで、6歳の時に英国に渡った。ロンドン市内のウェストミンスター大学でコンピュータープログラムの学位を取得し、シリアに渡ったのは2012年ごろだという。

同団体は、テロ容疑で拘束されている人の支援などを行っている。クレシ氏はロンドンで記者会見を開き、エンワジ容疑者は優しくて思慮深い若者だったとコメント。同容疑者と覆面男が同一人物であるとの確証はないとした上で、いくつか「際立った類似点」はあると語った。

エンワジ容疑者は英情報局保安部(MI5)から、イスラム過激派アルシャバーブに参加する意志があるとの疑いをかけられていたという。クレシ氏はまた、MI5が同容疑者を情報源として採用しようとしていたとも語ったが、詳細は差し控えた。

同団体によると、エンワジ容疑者は2009年8月、友人2人とサファリを楽しむために訪れたタンザニアで拘束され、オランダのアムステルダムで同国情報当局とMI5から尋問を受けた後、英国に送還された。クウェートへの渡航は当局によって3度阻まれ、最終的には家族にも告げずに英国を出国したという。

シリアに入国したとの情報を警察から知らされた家族は、同容疑者がトルコで支援活動をしていると思っていたという。

ロイターは同団体の説明についての真偽を確認できていない。

エンワジ容疑者は同団体にメールで、「保安当局によって生まれ故郷のクウェートで新たな生活を送ることを妨げられている」とし、「ロンドンというおりにとらわれた囚人のように感じる」とも語っていたという。

MI5は、この件についてコメントしていない。また英政府と警察当局は、現在捜査中の事案であるとし、同容疑者の身元を認めることも否定することも差し控えている。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、アルミ・鉄鋼に25%関税 例外措置を撤

ワールド

トランプ米大統領、就任後に中国・習主席と電話協議

ビジネス

米ベイン、富士ソフトTOB「撤回も選択肢」 KKR

ワールド

焦点:トランプ米大統領の対外援助凍結、世界で混乱広
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「だから嫌われる...」メーガンの新番組、公開前から大炎上の納得理由
  • 2
    極めて珍しい「黒いオオカミ」をカメラが捉える...ポーランドで発見
  • 3
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大反発を買う...「イメージアップを図るため」
  • 4
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 5
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 6
    36年ぶりの「絶頂シーン」...メグ・ライアンの「あえ…
  • 7
    世界のパートナーはアメリカから中国に?...USAID凍…
  • 8
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 9
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 10
    ウクライナ戦争終結めぐる「見返り要求」に、ゼレン…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 7
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 8
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 9
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 10
    「嫌な奴」イーロン・マスクがイギリスを救ったかも
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中