ニュース速報
ビジネス

米関税の影響注視、基調物価の見通し実現なら緩和度合い調整=植田日銀総裁

2025年04月25日(金)08時34分

 4月24日、訪米中の植田和男・日銀総裁(写真)は、米国の関税政策が物価安定目標の実現に影響を与える可能性がある中、同政策の影響を「特に注意して見ていきたい」と話した。1月24日、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)

Takahiko Wada

[ワシントン/東京 24日 ロイター] - 訪米中の植田和男・日銀総裁は24日、米国の関税政策が物価安定目標の実現に影響を与える可能性がある中、同政策の影響を「特に注意して見ていきたい」と話した。一方、基調的な物価上昇率が目標の2%へ収束していくとの見通しが実現していけば、引き続き金融緩和度合いを調整していくことに変わりはないと述べた。

植田総裁は、ワシントンで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後に出席。その後に記者会見し、「予断を持たずに適切に丁寧にデータを見ていきたい」、「それに応じて適切に政策を判断していく」と語った。

G20会合では「世界経済は足元で不確実性が高まっており、市場のボラティリティや消費者コンフィデンス等への影響を十分に注意し、情勢を丁寧に見極めた上で適切な政策運営に努めていくことが重要だ」と指摘したことを明らかにした。

また、米関税がもたらす影響について、貿易だけでなく企業や消費者心理の悪化に伴う支出への影響、市場動向や供給網(サプライチェーン)の混乱が物価にもたらす影響など「いろいろなメカニズムを想定していた」と自身の見方を紹介。「各国ほぼ同じようなことを考えていると感じた」と述べた。会合を通じて得た情報も踏まえ、日本経済の見方を作成し、適切に判断していく考えを示した。

トランプ米大統領がパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の退任を一時求めるなど、米国では中央銀行の独立性を脅かす動きが出ている。

植田総裁は中央銀行の独立性について、「経済や金融を安定的に推移させるために基本的に重要な要素だ」と述べた。その上で、日銀は2%の物価安定目標の実現に向け、政策を適切に運営していくことに集中したいと話した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

野村HDの前期純利益、約2倍で過去最高 北村CFO

ワールド

中国、米関税の影響大きい企業と労働者を支援 共産党

ビジネス

スイス経済、世界的リスクの高まりに圧迫される公算大

ビジネス

円債、入れ替え中心で残高横ばい 国内株はリスク削減
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考えるのはなぜか
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    欧州をなじった口でインドを絶賛...バンスの頭には中…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中