米FRB、6月以降に利下げ加速も 景気悪化なら=金利先物

3月10日、米金利先物市場は、米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決定するとは予想していないものの、貿易紛争を引き金とする景気悪化への懸念が現実になれば、6月から利下げを加速する可能性があるとみている。米首都ワシントンで2022年6月撮影(2025年 ロイター/Sarah Silbiger)
[10日 ロイター] - 米金利先物市場は、米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを決定するとは予想していないものの、貿易紛争を引き金とする景気悪化への懸念が現実になれば、6月から利下げを加速する可能性があるとみている。
トランプ米大統領は9日に放送されたインタビューで、関税政策によって米国が景気後退に陥るかどうか直接的な発言を避け、関税引き上げに伴う「経過期間」に言及した。
これを受け、金利先物市場では6月、7月、10月にそれぞれ25ベーシスポイント(bp)の利下げを織り込む動きが強まっている。
エコノミストはトランプ氏の貿易、財政、移民、規制政策が少なくとも短期的に物価を押し上げ、景気を減速させる可能性があると指摘する。ゴールドマン・サックスのエコノミストは10日、米成長率予想を1.7%に下方修正し、インフレ率予想を引き上げた。こうしたシナリオでは、FRBは政策金利を現在の4.25─4.50%に据え置いてインフレ抑制を継続するか、労働市場の悪化を和らげるために金利を引き下げるかという難しい選択を迫られる可能性がある。
市場は後者に賭けているが、一部のエコノミストはFRBが利下げを遅らせ、関税に起因する物価高が家計や企業のインフレ期待を上昇させないようにする可能性があるとみている。
SGHマクロ・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ティム・デュイ氏は「FRBは一見、平静に見えても、(当局者は)責務の両面におけるリスクの高まりに加え、関税だけでなくトランプ政権の政策全体のインフレへの影響を見極める前に労働市場や金融市場が悪化し始めた場合、トランプ氏からの利下げ圧力に抵抗できるかどうかについて不安を募らせている」とし、「FRBの対応が遅ければ、トランプ政権の怒りを買うだろう」と述べた。