GDP10─12月期、年率2.8%増 外需寄与し3期連続プラス

内閣府が17日発表した2024年10─12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期から0.7%増え、3四半期連続のプラスとなった。都内で2021年6月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Kentaro Sugiyama
[東京 17日 ロイター] - 内閣府が17日発表した2024年10─12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期から0.7%増え、3四半期連続のプラスとなった。年率換算では2.8%増。GDPで控除項目となる輸入が減少し外需寄与度がプラスに転じたことが押し上げた。半面、内需の弱さも指摘されている。
24年暦年の実質GDPはプラス0.1%で、4年連続のプラス成長となった。赤沢亮正経済再生相は同日発表した談話で、雇用・所得環境が改善する中、景気の先行きは「緩やかな回復が続くことが期待される」と述べた。
ロイターがまとめた民間調査機関17社の予測によると、10─12月期実質GDPの予測中央値は前期比0.3%増、年率換算で1.0%のプラス成長で、速報値はこれを上回った。
GDPの過半を占める個人消費は前期比0.1%増と、3四半期連続のプラスとなった。飲料や外食などが減少した一方、白物家電や宿泊などが増加に寄与した。個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資は同0.5%増と、2四半期ぶりのプラスで、半導体製造装置やプラントエンジニアリング、ソフトウエアなどへの支出が増加したとみられる。
民間住宅は同0.1%増で3四半期連続のプラス。公共投資は0.3%減で2四半期連続マイナスだった。
内需寄与度はマイナス0.1ポイントで3四半期ぶりマイナス。外需寄与度はプラス0.7ポイントと5四半期ぶりのプラスとなった。農林中金総合研究所の南武志・理事研究員は「内需の弱さが際立った」と指摘。「輸入が減って外需寄与度を押し上げたが、外需寄与度がプラスになったことをもって外需主導と呼ぶかどうかは少し難しい」とし、日本経済のけん引役が不在だったとの見方を示した。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーター(原系列)は前年同期比2.8%上昇。上昇幅は7─9月期の2.4%から拡大した。
雇用者報酬(実質)は前年同期比プラス3.3%と、7─9月期のプラス1.4%から拡大した。24年春闘における賃上げが徐々に実際の給与に反映されてきており、所得環境は改善している。
24暦年の名目GDPは609兆円と、初めて600兆円を超えた。赤沢経済再生相は談話で、景気の緩やかな回復の継続に期待を示しつつも「中国など海外経済の下振れリスクや、米国の政策動向による影響、食料品など身近な品目の物価上昇の継続が消費者マインドの下押しを通じて個人消費に与える影響に十分注意する必要がある」と述べた。
*内容を加えて再構成しました。