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利上げ2%・狭い長短金利差なら、27年度以降一時赤字に=日銀試算

2024年12月26日(木)19時04分

日銀は26日、先行きの政策金利の引き上げの程度と日銀の財務面への影響を分析した論文を発表した。資料写真(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada

[東京 26日 ロイター] - 日銀は26日、先行きの政策金利の引き上げの程度と日銀の財務面への影響を分析した論文を発表した。市場が織り込む緩やかなペースでの利上げの場合には収益の下押しは限定的で、赤字転落も回避される見通し。一方、今後数年程度かけて政策金利が2%まで引き上げられ、長期金利と短期金利のスプレッドが0.25%ポイントと狭い場合には2027年度以降、一時的に収益が赤字になるとの試算を示した。

論文では先行き10年程度の収益の変化について、今年9月末時点で市場金利が織り込む金利見通しに加え、市場参加者へのヒアリングをもとに、1)短期金利が今後数年かけて1.0―2.0%に上昇する、2)その際の長短スプレッドはプラス0.25%ポイント―0.75%ポイントになると仮定した場合の試算も併せて行った。

その結果、市場金利が織り込む緩やかな利上げペースの下では収益の悪化は一時的で、赤字になることはなく黒字を維持した。一方で、2%までの利上げと長短スプレッドがプラス0.25%と財務面で最も厳しい仮定の場合には27年度から30年度にかけて赤字に転落する試算となった。これは、市場予想対比大幅な利上げによって日銀当座預金の超過準備への付利金利がかさむ一方で、長短スプレッドが小さいために保有する国債が入れ替わっても受取利息がそれほど膨らまないためだ。

もっとも、長めの視点で見れば超過準備が減少するにつれて支払利息は減少し、保有国債も利回りの高い国債に順次入れ替わることで受取利息が増加することから「収益が回復していくことが示唆される」と指摘した。

日銀は「一時的に赤字または債務超過となっても、政策運営能力に支障を生じない」とした。ただ、今回の分析で一定の財務リスクを確認したため「引き続き財務の健全性確保に努めていく方針だ」と述べた。

ロイター
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