ECB、インフレの過度な減速リスク巡り見解の相違=議事要旨
欧州中央銀行(ECB)が14日公表した10月16─17日の理事会の議事要旨で、インフレが過度に減速するリスクを巡り当局者の間で見解が一致していなかったことが分かった。7月撮影(2024年 ロイター/Jana Rodenbusch)
[フランクフルト 14日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が14日公表した10月16─17日の理事会の議事要旨で、インフレが過度に減速するリスクを巡り当局者の間で見解が一致していなかったことが分かった。
ECBは同理事会で、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ3.25%とすると決定。利下げは今年に入って3回目。9月も同じ幅で金利を引き下げており、2会合連続での利下げは13年ぶりだった。
議事要旨によると、当局者は入手できている新たな情報は限られているとの認識を示しながらも、「現時点で行動を起こすことは、(インフレ率が)目標を下回るリスクに対する保険となり、経済のソフトランディング(軟着陸)を支援することができる」との認識を示した。
同時に「経済活動に関する指標で示されている減速と、インフレの下振れが一時的なものなら、今回の利下げは12月の利下げを前倒ししたにすぎない可能性がある」とし、12月の理事会で利下げを回避できる可能性があるとの見方が示された。
ただ、物価上昇圧力がどの程度弱まっているかを巡り見解の相違があったことも判明。ユーロ圏のインフレ率は従来予測の2025年末より早い時期にECBが目標とする2%に達するとの見方では一致したものの、その後の展開については見解が分かれた。
一部の当局者は、景気後退(リセッション)の領域に入る経済成長の低迷や、金融システムの弱体化など、現時点で存在していない複数の要因が顕在化しない限り、インフレ率が目標を下回ることはないとの見解を示した。
これに対し別の当局者らは、インフレの予想外の下振れと、市場予測の急速な変化を踏まえると、インフレ率が持続的に目標を下回るリスクが増大している可能性があると指摘。目標を上回るリスクより大きなリスクとなっている可能性があると主張した。