ニュース速報
ビジネス

ドイツ経済、トランプ氏返り咲きなら高関税で1.5%縮小=IW予測

2024年10月24日(木)16時39分

10月24日、 ドイツ経済研究所(IW)は、11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利し、米欧貿易戦争が勃発すれば、ドイツが大打撃を受けると予想した。写真は22日、ノースカロライナ州グリーンズボロで選挙集会を開くトランプ氏(2024年 ロイター/Jonathan Drake)

[ワシントン 24日 ロイター] - ドイツ経済研究所(IW)は、11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利し、米欧貿易戦争が勃発すれば、ドイツが大打撃を受けると予想した。

トランプ氏は大統領に返り咲いたあかつきには、輸入品に一律10─20%の関税を課し、中国製品にはさらに高い関税を課す方針を示している。

IWはロイターに提供したリポートで、米がEUに20%の関税を課し、EUが相殺関税措置を取った場合、ユーロ圏の域内総生産(GDP)は2027年と28年に1.3%減少し、ドイツは1.5%縮小すると予想した。

EUのGDPへの影響は25年から28年にかけて強まる見込み。米GDPへの影響は最初の2年間が強く25年は関税10%で1.3%減少、関税20%で1.5%減少と予想した。

このシナリオでは、米国の輸入が輸出よりも減少するため、GDPへの影響は時間の経過とともに和らぎ、貿易収支は改善すると想定する。

ドイツの貿易相手国は8年連続で中国が首位だったが、今年、米国が1位になった。

ブリューゲルとピーターソン国際経済研究所でシニアフェローを務めるヤコブ・ファンク・キルケゴール氏はロイターに、中国の景気刺激策は期待外れに終わり、ドイツは中国の経済回復の恩恵を受けられないと予想。さらに米国が保護主義に傾斜すれば、ドイツの短期的な成長源は非常に乏しくなると指摘した。

ドイツの輸出は23年に0.3%減少し、今年は政府予測で0.1%減少が見込まれている。

ハンス・ベックラー財団マクロ経済研究所の研究によると、関税が20%の場合、導入後2年にドイツのGDPを1%押し下げる可能性がある。

IFO経済研究所の調査では、米中貿易戦争が起きた場合、ドイツの対中輸出は9.6近く減少する可能性がある。また米国が中国製品に60%の関税、その他の国の製品に20%の関税を課した場合、ドイツの対米輸出は14.9%減少することが想定される。ドイツの自動車輸出への打撃は大きく32%減となる。

IWの国際経済政策担当責任者ユルゲン・マテス氏は「関税率が10%でも、関税がもたらす不確実性もあってドイツ経済は痛手を受ける」と指摘し、ドイツ経済が現在抱える主な問題として投資の弱さや、不確実性を感じる人々の消費への消極姿勢を挙げた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍の攻撃でレバノン兵士3人死亡

ビジネス

クレジットやオルタナ積み増し、金利上昇なら円債も検

ワールド

アジア開発銀の総裁選、神田前財務官のみが立候補

ビジネス

英資産運用会社アバディーン、予想以上の資金純流出で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...夫フセイン皇太子と仲良くサッカー観戦
  • 2
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 3
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 4
    「国産メーカー優先」をやめたNTTドコモ...経済安全…
  • 5
    日本は働き手の「やる気」で世界最低...石破首相、「…
  • 6
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 7
    大谷とジャッジを擁する最強同士が激突するワールド…
  • 8
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 9
    ウクライナ軍、迫り来るロシア装甲車を「超至近距離…
  • 10
    北朝鮮がその気なら韓国も!? ロシア派兵に対抗してウ…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 6
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 7
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 8
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中