ニュース速報

ビジネス

米銀行の収益費用比率、下期に改善か 上期は悪化

2022年09月15日(木)13時02分

 米銀行は世界的な景気悪化による収入減や、人材獲得競争によるコスト高などで上半期に悪化した「収益費用比率」が、下半期には改善に向かうとアナリストは見ている。写真はカリフォルニア州サンタモニカのシティバンク支店。2018年3月撮影(2022年 ロイター/Lucy Nicholson)

[13日 ロイター] - 米銀行は世界的な景気悪化による収入減や、人材獲得競争によるコスト高などで上半期に悪化した「収益費用比率」が、下半期には改善に向かうとアナリストは見ている。

収益費用比率は営業経費を収入で割ったもの。銀行の経営状態を測る指標として注目され、数値が低いほど経営効率が良い。

KBWの銀行調査部門を統括するクリストファー・マクグラティ氏は「今の予測では、米銀の今年の収益費用比率は昨年の58%弱から57%弱へと緩やかに改善する見通しだ」と述べた。

収益費用比率の小幅な改善予想は、収入全般の伸びが高まることを見越したものだ。

マクグラティ氏は、資本市場の動きが劇的に減速しているにもかかわらず、純金利収入の伸びは加速していると指摘。全体的な収入の伸びが経費の伸びを上回るはずだと予想した。

決算報告から算出した米主要行の上半期の収益費用比率は、JPモルガンが60%、シティグループが66%といずれも2014年以来の水準に急上昇。モルガン・スタンレーは71%で19年以来の高水準、ゴールドマン・サックスとウェルズ・ファーゴはそれぞれ62%と77%で20年以来の高水準だった。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)は前年同期の69%から67%に改善したが、新型コロナウイルス感染拡大前の19年の水準を依然9.5ポイント上回っている。

アナリストの間では同比率は50─60%が最適との見方が一般的だ。

米銀の収益費用比率が上期に悪化したのは、投資銀行業務が記録的に好調だった昨年から落ち込んだことが主因。加えて住宅ローン金利が急上昇し、株式・債券の主要指標が下落して富裕層向け資産運用事業が不振となった。

ディーボルド・ニックスドルフのサイモン・ポーリー氏は、さらに給与や手当で経費が膨らんだと指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

フーシ派のイスラエル中部攻撃、敵へのメッセージ=ハ

ワールド

イラン大統領、対ロシア兵器供与を否定 「就任以降な

ワールド

イラン大統領、米と直接交渉可能と示唆 ミサイル計画

ビジネス

ECB当局者、追加利下げに論拠 伝達方法巡り見解割
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将来の「和解は考えられない」と伝記作家が断言
  • 4
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 5
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 6
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 7
    広報戦略ミス?...霞んでしまったメーガン妃とヘンリ…
  • 8
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 9
    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…
  • 10
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 4
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 5
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 6
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 7
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 8
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 9
    33店舗が閉店、100店舗を割るヨーカドーの真相...い…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 5
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 6
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 7
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 8
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 9
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 10
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中