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米利上げ、今年は2回が適切=フィラデルフィア連銀総裁
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1月5日、米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、今年は2回の利上げが適切になるとの見解を示した。写真は2012年4月、ワシントンのFRB前で撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts/File Photo)
[フィラデルフィア 5日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は5日、緩慢なペースでの賃金の伸びや債券市場で垣間見られるリスクの可能性を踏まえ、連邦準備理事会(FRB)は足元利上げペースを減速させるべきとし、今年は2回の利上げが適切になるとの見解を示した。
2018年の利上げを巡っては、FRBが前月開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表した見通しから、大半の当局者が3回の利上げを見込んでいることが明らかになっている。
ハーカー総裁は11月時点で、2018年は3回の利上げが妥当との見解を示しているほか、FRBが昨年実施した3回の利上げすべてに支持を表明している。そのためこの日の発言は、根強い低インフレに加え、FRBの措置がイールドカーブのフラット化を招いている可能性を巡りFRB内で懸念が高まっている状況を反映したものといえる。
イールドカーブのフラット化は景気後退のリスクを示唆すると歴史的にみなされており、ハーカー総裁も問題となる可能性があるとけん制。FRBがフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げてから、指標10年債と短期債の利回りの格差は縮小したとし、FRBによる利上げペースの減速が妥当となる可能性もあると指摘。そのうえで「利回り曲線のフラット化に対応するための措置を講じる必要はないと考える。時間はまだある」と語った。
インフレについては、しばらくの間目標の2%をオーバーシュートさせても良いとの考えを示した。
講演原稿では、総裁は米経済が今年2.5%を幾分下回るペースで拡大し、インフレ率は2019年に2%を上抜けた後、2020年には2%の水準に落ち着くとの見通しを示した。失業率については、年内は引き続き低水準にとどまると予想し、労働市場には「緩み(スラック)」はさほど残っていないと語った。
同時に「低インフレが続くことになれば、重大な問題を引き起こす可能性がある」とし、インフレ率を健全な水準に回帰させることが一段と困難となることにもなりかねないとの認識を示した。「そのため私見では、2018年は2回の利上げが適切となる公算が大きい」と語った。
また、FRB内で物価水準目標などを金融政策運営上の新たな手法に採用する案が浮上していることについては、「私はいかなる変更も強く求めておらず、好ましいと考える特定の変更も念頭にないということを明確にしたい」としたうえで、議論が行われることになれば、あらゆる選択肢を真剣に検討する必要があるとの考えを示した。
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