ニュース速報

ビジネス

第3四半期米GDP、2年強ぶりの強い伸び

2017年12月22日(金)04時48分

 12月21日、第3・四半期の米GDP確報値は3.2%増にやや下方改定された。写真はカリフォルニア州の百貨店で掲出された求人広告。2016年9月撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)

[ワシントン 21日 ロイター] - 米商務省が21日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)確報値は、年率換算で前期比3.2%増と、改定値の3.3%増からやや下方改定されたが、2015年第1・四半期以来の大幅な伸びを記録した。

第2・四半期GDPは3.1%増だった。2四半期連続で伸び率が3%を超えたのは2014年以来。ただ第3・四半期GDPの数値は実体経済より誇張されている可能性が高い。

支出面に着目したGDPに対して、所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は第3・四半期に2.0%増加した。改定値は2.5%増だった。

米経済成長をみる上でより良い手法とみなされているGDPとGDIの平均は2.6%増と、改定値の2.9%増から下方改定された。

米議会共和党は今週、約30年ぶりの大幅改定となる税制改革法案を可決した。トランプ米大統領にとって大きな勝利だ。大統領は直に法案に署名する見込み。減税幅は1兆5000億ドルだ。

エコノミストは、法人税を35%から21%へ引き下げることなどが含まれた同税制改革による経済効果は控えめだとみている。米経済は最大雇用状態にあり、財政面での景気刺激策は景気過熱につながる危険性がある。

ムーディーズ・アナリティックスの首席エコノミスト、マーク・ザンディ氏は「長期的にみて、減税による経済押し上げ効果はあまりない。一方で財政赤字と債務は著しく増える」と指摘した。

このほか、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ニューヨーク)の世界信用戦略・調査部門責任者、アン・ヴァン・プラグ氏は「減税措置が全体的な経済成長率に及ぼす影響は0.1─0.2%程度と、控えめなものになる」と予想。「法人税率引き下げで企業投資が有意に増加するともみていない」と述べた。

経済が堅調に推移し、労働市場の引き締まりも継続するなか、アナリストの間ではそもそも大規模な減税措置が必要なのか疑問も出ている。MUFG(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「景気後退(リセッション)に見舞われていない時に、議会が企業と個人向けに減税を決定したことはいまだかつて見たことがない」とし、「2018年は荒れる可能性がある」としている。

第3・四半期は、機器投資が10.8%増と、3年ぶりの大幅プラスとなった。改定値の10.4%増から上方改定された。在庫投資の増加や政府支出の持ち直しも押し上げ要因となった。

米経済の3分の2以上を占める個人消費は改定値から0.1%ポイント引き下げられ2.2%増だった。個人消費は第2・四半期に3.3%増と、底堅く伸びていた。

税引き後企業利益は5.7%増と、改定値の5.8%増から下方改定された。第2・四半期は0.1%増にとどまった。未分配利益は第3・四半期に13.9%増。前四半期まで2四半期連続でマイナスとなっていた。企業が大幅減税を見込んでいたことを示唆する。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領、ロシア西部州との領土引き換え案提

ワールド

メキシコ、米の鉄鋼・アルミ関税「不当」 と反発

ワールド

オープンAI「売り物でない」、マスク氏の買収提案に

ワールド

フーシ派、イスラエルへの攻撃を開始する用意 ガザ戦
MAGAZINE
特集:ガザ所有
特集:ガザ所有
2025年2月18日号(2/12発売)

和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画が現実に?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観察方法や特徴を紹介
  • 3
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップルは激怒
  • 4
    世界のパートナーはアメリカから中国に?...USAID凍…
  • 5
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 6
    0.39秒が明暗を分けた...アルペンスキーW杯で五輪メ…
  • 7
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 8
    極めて珍しい「黒いオオカミ」をカメラが捉える...ポ…
  • 9
    便秘が「大腸がんリスク」であるとは、実は証明され…
  • 10
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 5
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 6
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 9
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 10
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中